UNKNOWN FANTASY -FINAL FANTASY STRANGE STORY-
OSUMOU
Prolog
リンドブルム王国の歴史資料館。古びた石造りの建物には、王国の長い歴史を物語る数々の遺物が展示されている。王国民なら無料で入ることが出来る博物館に、とある一枚の紙切れが保管されている。それは、ただの古い一枚の紙だ。日に焼けてボロボロだ。紙としての価値はない。紙に書かれているものも同じだ。あるとしたら、歴史的価値ぐらいなものだろう。
この紙には、かつては世界の全てが記されていた。この紙一枚で大国が傾くほどの大金が動いたという。この紙一枚手に入れただけで、小国が大陸を支配した。この紙を失ったが為に滅亡した大国もある。だが、今では数多の歴史的資料物の一つとしてここに保管され、今では誰も見向きもしない。
館の隅にある小さなショウケースのプレートには『最初の世界地図』と書かれている。現代人には信じられないことだが、この地図に描かれたものが世界だとかつては信じられていた。
そう、この『内界』のみしか描かれていない地図が。
かつての人は、この地図の外側には何もないと信じていた。見渡す限り続く水平線の彼方には海が落ち込む巨大な滝が存在している。今の子供が聞いたなら笑ってしまうような冗談話を、当時の人々は信じて疑わなかった。
今から千年以上も昔のこと。一人の少年が世界に疑問を持った。少年にとって世界地図の世界は小さくて狭く見えた。だが、世の常識では世界は大きくて広い。少年は漠然とだが、世界果てにはさらなる世界が広がっていると信じていた。だが、大人達は少年の考えを笑い飛ばして、子供の冗談だとして誰も真面目に話を聞こうとしなかった。
そんな大人達を見て、少年は口を閉じた。少年は二度と夢と希望を口にすることを止めた。だが、夢と希望を捨ててしまったわけではない。
少年はやがて青年となり、少年と同じ夢を志す仲間を募った。金をかき集め、たった一枚の紙きれを手にして、はるか東の海のさらに先にある世界の端へと旅立った。
誰もがこの冒険を嘲笑った。彼を知る人々でさえ、この無知で無謀な冒険を、若者特有の怖いもの知らずだと呆れた。結局、最後の最後まで誰も彼の言葉に耳を貸さなかった。
彼を乗せた船が水平線の彼方に消えてから、何年も経ったある日。巷には彼の冒険を嘲笑う詩も歌われなくなり、人々が彼のことを忘れかけた頃だ。
彼は戻ってきた。誰一人、彼が生きて戻ってくるとは思わなかった。
港に降り立った彼は集まった群衆の前で声高に叫んだ。
「この海の果てで、俺は新世界を見た!」
この瞬間から、世界は二種類に分け隔てられる。地図に記された既知なる世界を『内界』とし、地図に記されていない未知なる世界を『外界』と呼んだ。
この外界という新世界を最初に発見した男の名は。
ロジャー・フリークス。
偉大なる冒険家として歴史に記されている。
その後、内界の国々は新世界の未知なる資源を求めて、多くの冒険者を雇い入れ数多の探査船をはるか東の海域の先に広がる外界へと向かわせた。世に言う、大航海時代が幕を開けることとなる。
それから千年以上の月日が経った。
世界はいまだに未知に覆われている。
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