第27話
今回のお見合い相手はアルスという名のAランク冒険者だ。
普段は迷宮都市で活動しておりSランクも夢ではないと言われるほどの逸材だ。
そんな彼がどうして今回のお見合いを受けたかというと多くの貴族から引き抜きの勧誘がやまないことから貴族の後ろ盾を得ようと思ったからだ。
エルシュタイン公爵家としても有能な人材と繋ぎを持っておきたい。
今すぐは無理でも将来的に要職に就いてもらいたいと考えている。
冒険者に興味のあるリーシアは積極的にアルスに話しかけていた。
「アルス様。迷宮都市とはどういったところなのですか?」
「エルシュタイン領にある迷宮都市はいくつもの迷宮があって迷宮ごとに難易度が違うんだ。一攫千金を狙う冒険者が多く集まっているね。迷宮都市の役割としては潜る冒険者の支援。そして、氾濫を起こした場合防波堤としての役割があるんだ」
「氾濫することもあるんですね」
「冒険者が常に潜ることで間引いているからここ最近ではないことだけどね。氾濫が起きた際は常駐する兵士と冒険者が共同で事態に当たることになっているよ」
「迷宮都市では公爵家の力より冒険者組合の力の方が強いんですよね」
「そうだね。兵士達は犯罪者の取り締まりとかが主な仕事で魔物のエキスパートとは言えないからどうしても冒険者組合の力のほうが強くなってしまうんだ」
迷宮都市での公爵家の仕事は街の治安を守ること。
しかし、多くの冒険者が集まっていることで治安を守る兵士達より冒険者の数のほうが多くなってしまう。
徒党を組まれてしまえば抑えきれないということだ。
しかし、冒険者組合も公爵家と争いをしたいわけではない。
悪事を働けば罰則がありあまりにも酷い場合は冒険者資格を失うし組合から討伐依頼が出されることもある。
そういった事情から迷宮都市の治安は悪くないのだ。
「そうなのですね。迷宮の中はどうなっているのでしょうか」
「それこそ様々だね。中は、洞窟だったり整備された通路だったり、森や草原が広がっていたりだね。原理は解明されていないけど大掛かりな空間魔法なんじゃないかって言うのが有力な説かな」
「それは一度見てみたいですね」
「リーシアさんは冒険者に興味があるのかな?」
「立場が立場ですから自由な冒険者には憧れてしまいます」
公爵令嬢という立場は多くの人からしたら羨ましがられる存在だ。
物はなんでも手に入るしやりたいこともやらせてもらっている。
しかし、どうしても籠の鳥のような気がしてしまうのだ。
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