第26話
リーシアは魔法漬けの日々を過ごしていたのだが母親であるリーゼロットに勧められ街へと買い物に出ていた。
興味を引いた店を冷やかしつつウィンドーショッピングを楽しむ。
入れ替わる以前はドレスや小物などを好んだようだが今巡っているのは骨董品などを扱うお店だ。
たまに掘り出し物も見つかるらしいのだが中々お眼鏡にかなう商品とは巡り合えない。
そんな中、道を馬車が通っていく。
荷台には手足を縛られた緑色の子供のようなものがぎっしり詰め込まれている。
御者に聞いてみると冒険者学校や軍の新人を鍛えるために使うゴブリンとのことだった。
冒険者学校と聞いて気になって聞いてみる。
冒険者は通常S、A、B、C、D、E、F、Gにわけられる。
通常はGランクからはじまるのだが冒険者学校を出るとEランクとしてスタート出来るらしい。
そして冒険者学校に通う期間は3か月とのこと。
その分カリキュラムは厳しいが新人冒険者の死亡率や知識不足による依頼の失敗を防ぐことが目的とのことだ。
ちなみにGランクでは街中の依頼しか受けることが出来ない。
信頼を得てFランクになってはじめて薬草採取や弱い魔物の討伐依頼を受けることが出来るようになる。
Eランクから商人の護衛依頼やダンジョンに足を踏み入れることが許されるそうだ。
そこから先は依頼や貢献度をコツコツと重ねることによってランクが上がっていくそうだ。
そんな事情を考えると3か月でEランク冒険者してデビューできる冒険者学校の存在は破格に映る。
この日からリーシアはとある計画を立てる。
まずは基礎体力向上のため走り込み。
そして近接格闘能力を得るために剣の素振りをはじめた。
最初は訝しんでいたイーリッヒであるが将来、公爵家を継いだ際に必要な能力だと言って押し切った。
女性が先頭に立って戦うというのは稀ではあるが初代当主フランチェスカの例を見るように全くいないというわけではない。
素振りをはじめた当初は苦労の連続だった。
なんせ武術の心得などない素人なのだ。
真剣に取り組んでいたからだろうか、イーリッヒは仕事の合間を見て指導をしてくれるようになった。
素振りが基本ではあるがエルシュタイン家には独自の型が存在しておりイーリッヒはそれを教えてくれた。
エルシュタイン家に伝わる型は非常に攻守のバランスの取れたもので実践的なものだった。
そんな日々を送っていると次のお見合い相手がやってくるとのことだった。
お見合い相手がいる間は魔法や体の鍛錬が出来ない。
非常に不満ではあるが公爵家の令嬢として笑顔でお見合い相手を迎え入れるのだった。
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