第8話 潜入
『各員健闘を祈る』
短い電文とともに下された命令。
わたしはレイナを連れて敵国に乗り込むこととなった。
IDパスは偽造して、敵国『スカイベア』に向かうこととなった。
車に揺られること、半日。
敵国前戦の街『リーリリア』につく。
「補充要員とはお前たちのことか?」
恰幅のいい、朗らかに笑う上司が訊ねてくる。
「はい。本日より着任いたしました、ルイス=アクアと申します」
わたしはあらかじめ決められていたIDの名を言う。
「私はメメ=リーナです」
「おう。よく来たな。今はここもだいぶ落ち着いてきている。敵兵もなかなか手が出せないようだな」
苦笑を浮かべて軽く状況を報告する。
「失礼、俺はゲイツ=ノーラだ。よろしく」
手を差し出すノーラ。
「はい。よろしくお願いします」
わたしは握手をかわし、敵対心がないことを示す。
「今日は長旅で疲れただろう。あちらの宿舎に泊まるといい」
ノーラはそう言い、テントを顎で差し示す。
「ありがとうございます」
わたしたちは前戦に設置された軍用テントに向かう。
こっちは女性専用らしい。
ありがたい。
ノーラを含め、思想の違いから争うことになったもと同族か……。
哀れみの視線を向けて、わたしは宿舎に荷物を降ろす。
資源を巡り、思想を
人はなんでこんなに簡単に争うのか……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます