第4話 接敵
作戦が開始され、わたしたちは敵軍と接敵することとなった。
だが、
「何かおかしいわ……」
わたしが感じ取った不安を、レイナが見つめてくる。
「どうしたの?」
「いえ、敵に意欲を感じないのよ」
「そう言われれば……」
『全員、退去せよ!』
サファイヤからの無線が入る。
目の前でわたしたちの軍勢が敵拠点に攻めているが、一足遅かった。
膨大な熱量を感じ、わたしは引き下がる。
スカートのようについていた自律駆動モジュールが展開され、熱波から身を守る。
その後方にレイナを押し込み、爆発四散した破片の雨を防ぐ。
「やってくれたね」
「ええ。わたしたちを引き込み、自爆。敵も味方もお構いなし」
わたしは甘かった。
あいつらはトカゲの尻尾を切るように離脱していた。
前戦を押し上げることには成功したものの、こちらの受けた被害の方が大きい。
『敵兵を捕まえたそうです。いったん帰艦してください』
「こちらルビー。了解だわ」
「帰るのね」
「今は引くときかしら」
「そう願いたいね」
ちらりと戦場を見やる。
そこかしこに横たわる味方の死骸。
焼け焦げた肉の匂いに、血だまり。
この惨状を見て、何も思わない人間などいないだろう。
作戦は失敗した。
それが今後の上層部にどれだけ影響するのか、この頃のわたしたちは知らなかった。
そしてクリスマスを目前に戦闘を終わらせる打開策を練っていることも、この時点では知らされていなかった――。
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