第3話 作戦会議

 金糸のような髪を揺らして、わたしは第二ブリーフィングルームに向かう。

「どうしたの、ルビー。怖い顔をしているよ?」

「ああ。すまない。寝不足なんだ」

 嘘八百だが、わたしはレイナには心配をさせたくない。

 本当は明日の殲滅戦のことでサファイヤを問い詰めたいのだ。

「レイナはゆっくり休んでほしいわ」

「そう。ならいいけど……」

 すぐに引き下がるレイナ。

 わたしは第二ブリーフィングルームのドアを開けると、そこに立っていた藍色の編んだ髪の少女を見つめる。

「どうしたんだい?」

「この作戦は納得できません!」

 わたしは記憶端末を机に叩きつける。

「……しかたないよ。これは上層部からの命令だよ。それを覆すなどできない。ボクたちはただ命令を実行すればいいだけだよ」

「考えて行動する、それも軍人の務めよ。腐敗した政治のもとでは軍は機能しない。分かっているでしょう?」

「いいえ、破壊と勝利は戦いの代償ではないよ。それで救える命があるのだから」

「屁理屈を――!」

 サファイヤは少し顔を緩める。

「そうね。でもそれが必要なときもあるよ。でないとボクたち軍人はやっていけない」

「自分を騙すので必死なわけでしょう?」

「どうでもいいけど」

 サファイヤは冷たいまなこを床に落とす。

「それだけかな?」

「……」

 わたしはこの作戦を覆すことができなかった。

 明日の作戦、どうなるんでしょうか?

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