第51話 笹山、能力を全部吸収される

「クソ……何をした?」


 切断された右手を押さえながら、


 俺を睨む笹山。


「何もしてないが……」

「卑怯なことしやがって」


 いや、本当に普通に剣を振っただけだ。


 笹山は飛び上がる。


 空中から俺を見下ろして、


「ヘルファイア……っ!」


 デカい火の玉を俺に向かって放つが、


「吸収……!」


 火の玉は俺の右手に吸い込まれる。


【ヘルファイアを獲得しました!】


「な……っ! 俺のヘルファイアを吸収しただと?」


 笹山が驚く。


「使ってみるか。ヘルファイア……っ!」


 俺は右手から火の玉を放つ。


「な……俺のスキルを使って――」

「わんわんわん(クソ湊川っ!)」

「ぎゃああああああああああああああああああっ!!」


 笹山が炎に包まれる。


「思ったより威力が低いな……」

「な、なんだと……っ!」


 もっと威力が高いと思ったが、コレットのブレスよりも全然威力が低い。


 吸収するんじゃなかった……


「ならば、お前の女どもを俺の【奴隷】にしてやる……調教!」


 笹山の目が、怪しく光る。


 調教――名前からしてろくでもないスキルだろう。


 とりあえず、吸収しておいたほうがいい。


「吸収……!」


【調教を獲得しました!】


「クソ……! 俺のスキルが吸収されたっ!」

「使ってみるか。調教!」


 俺の目が光ると……


「わんわんわんっ!(優斗様大好き♡」

「うわっ!」


 犬になった桜庭が、俺の胸に飛び込んできた。


「わんわんっ!(優斗様とヤリたい!)」


 桜庭が俺の顔をぺろぺろしている!


「ゆ、優斗に何しているの! あたしも舐めたいのに……」

「委員長として、ゆ、許せません……あたしは他のところを舐めて……」

「あ、あたしも……い、一緒に舐めたい……っ!」

「我が主人の【主人】を舐めたいぞ」


 亜美たちが桜庭を引き剥がした。


「わんわんわんっ!(お前らぶっ殺す!)」


「俺の奴隷が……」


 犬に堕とした桜庭が、俺の犬になってしまった。


 まあ俺は要らないから返したいけど……


「俺の奴隷を返せえええええええええええええええ!!」


 笹山が突撃してくるが、


 相変わらず、隙だらけだな……


 動きも遅すぎるし。


 バンっ!!


「ぐえ……っ!」


 俺が笹山の顔に、拳を一発入れると、


 吹っ飛んで、地面に叩きつけられた。


 笹山は動かない。


「……笹山。もうおしまいか?」

「…………」

「おーい!」


 まさかワンパンで倒してしまったのか!


「わんわんわんっ!(優斗様の勝ちだ!!)」


 桜庭が俺の股間に、顔を突っ込んでくる。


「おい……やめてくれ」

「わんわんわんっ!(舐めたいです♡)」


 



 


 


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