【攻略二度目の知識チート】〜クラスごと異世界に召喚されて死の迷宮に放り込まれたけど、俺は前回の【攻略者】です。死にたくないクラスメイトが泣きついてくるが、お前ら俺のことイジメてたよな？

第50話 笹山は本気を出していないはず「……ははは。か、勘違いするなよ？ お前のレベルに合わせてやっただけだ。（どうしてだ……？ 攻撃が当たらない……）」

「おらっ！　死ね！　ヘルファイアっ！」

　笹山が手から火の玉を出すが、

　がきんっ！

　俺は左手で弾き飛ばす。

　(あれ？　本気を出していない？)

「笹山。お前と遊んでいる暇はないんだ。最初から本気を出してくれないか？」　

「な……っ！　(本気を出したはずなのに？)」

　笹山は、邪神化してかなり強くなったはず。　

　もっと強力な魔法を使ってくるに違いない。

「はっはっはっ！　もちろん雑魚のお前に手加減してやっただけだ！」

「手加減とかいいから、さっさと終わらせよう」

「ぐぬ……っ！　湊川のくせに。おらああああああああっ！」

　笹山が突っ込んでくる。

「ヘルクロウっ！」

　爪を振り下ろしてくる笹山だが、

　（妙に動きが遅いな……）

　俺は余裕で右に避ける。

「逃げるんじゃねえっ！　湊川っ！」

「いや、逃げてないのだが……」

　（やっぱり本気を出していない……？）

　笹山の動きは遅すぎる。

　すべての動きが手に取るようにわかるのだ。

「笹山……本当に遊んでいる暇はないんだ。遊びたいなら他所でやってくれ」

「……ははは。か、勘違いするなよ？　お前のレベルに合わせてやっただけだ。（どうしてだ……？　攻撃が当たらない……）」

「はあ……なら、早く本気で来いよ。来ないならこっちから行くぞ――」

「ま、待ってくれ……。まだ俺のターンだろ？」

　俺のターン……？

　いったい何を言ってるんだこいつは。

「お前のターンとかないし……」

「てめえは俺を裏切ったんだっ！　少しは俺にボコられろっ！」

　相変わらず、考え方に独特の歪みがあるというか。

　俺をまたいじめているつもりなのかも。

「うるさいな。行くぞ」

　俺は剣を抜いて、笹山の懐に入る。

　（あっさり懐に入れたな……まだ本気を出していないのか）

「ぐ……っ！」

　笹山が驚いた顔する。

　（俺を油断させるために、驚いたフリか。慎重に行こう）

　俺はバックステップで、笹山との間合いを取る。

「どうした湊川？　ビビったのか？　（動きが速すぎる……）」

　笹山が挑発してくる。

「優斗……みんなでこんな奴叩き潰そうよ」

「そうだよ、湊川くん。一気にやってしまおう」

　亜美と委員長が「一斉攻撃」を提案するが、

「いや……笹山は邪神だ。どんな力を隠しているかわからない。俺一人でやらしてくれ」

「優斗……勇気あるね。すごい……」

「湊川くん、すっごくカッコイイ……」

「バカめ。全員でかかってこなくていいのか？（ヤバかった……）

「お前の挑発には乗らない。もう一度……っ！」

　俺は再度、笹山との間合いをつめるが、

　（またあっさり懐に入れたな…やはり俺を舐めている）

「はあっ！」

　俺は剣を斜めに切り上げるが、

　（さすがにこんな大振りは当たらないよな……）

　と思ったが、

「ぎゃああああああああああああっ！！」

　笹山の右手が切断される。

　地面に、笹山の黒い獣の手が落ちた。

　（クソ……！　まだ笹山は本気を出していないのか！）

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