第49話 邪神笹山、お誘いを断われる「あたし、委員長だからハッキリ言うね。笹山くんは湊川くんよりずーっと弱いの。自分の弱さを認めないと、めっ、だよ?」

「はははっ! 邪神となった俺は、絶望を喰って強くなった! ドラゴンごときで勝てると思うな!」

「わんわんっ!(クソ雑魚ドラゴン死ねっ!)」

「邪神……?」


 コレットにビビっているかと思ったら、やけに強気な態度の笹山。


 さっきこっそり鑑定したら、レベル的には俺たちが圧倒的に勝っているのだが……


 何か奥の手でもあるのか?


 邪神となった俺——そう笹山は言った。


 いくら笹山が【クソ野郎】でも、いつの間にか邪神になった、わけじゃないだろう。


 いったいどうやって、邪神とやらになったんだ?


「ふっふっふ。弱き魔物がイキがっているよじゃ。主人よ。叩き潰してよいか?」


 コレットの目が赤く光る。


 殺る気満々だ。  


「待て。少し聞きたいことがある」

「オラオラオラっ! 湊川っ! 今更ビビって命乞いか? 早くかかってこいよ!」


 俺たちが自分にビビっていると勘違いしているみたいだ。


「笹山、お前はどうやって邪神になったんだ? そもそも邪神ってなんだ?」

「……お前に教えるわけねえだろ。クソ湊川」


 一瞬、笹山の目が泳いだ。 


 何か隠したいことがあるような……


 ここは笹山を揺さぶってみよう。


「なるほど。そういうことか。お前もわからないんだな? 気がついたら邪神になったってことか。で、本当は自分でも怖がっていると」

「俺が……怖がっているだと?」

「そうだ。化け物になった自分が怖くて仕方ない。だから強がってるんだろ?」


 笹山の目が、黒く濁っていく……


「てめえ……陰キャのくせしてイキりやがって」

「わんわんっ! わんわんっ!(陰キャ! 死ね!)


 笹山の反応を見ると、どうやら「何も知らない」のは図星のようだ。


 しかし、何かあったのも確かなことだ。


 だとしたら、残る可能性はひとつ。


「もしかして、女神に何かされたのか?」

「つ……っ! め、女神様が何の関係がある? め、女神様は関係ねえよ……っ!」

「笹山くん……わかりやすすぎ」


 明らかに焦る笹山に、委員長が呆れる。


 しかも、クソ女神のことを様づけで呼んでるし。


 女神と何かあったのは、間違いないな。


「うるせえっ! 女ども! 湊川みたいなクソ雑魚陰キャ野郎に付いていいのか? 今、俺のところに来れば命は助けてやってもいいぞ」


 亜美、委員長、黒崎を見てながら、


 笹山は犬のように舌なめずりをする。


「はあ? あんたなんか優斗の足元にも及ばない雑魚よ。あんたに付くなんて死んでも嫌」

「あたし、委員長だからハッキリ言うね。笹山くんは湊川くんよりずーっと弱いの。自分の弱さを認めないと、めっ、だよ?」

「さ、笹山くんは……ゴミクズ生きる価値なし。湊川くんに遠く及ばない。あたしは、湊川くんの側を離れない……」


 三人から誘いを拒否された笹山は——


「お前ら……全員、雌犬に堕としてやる」



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