第44話 巨大スライムの触手に捕まる「あんっ! はあああんっ! らめええええええええええっ!」

「あの核を攻撃すれば、倒せる」


 スライムキングの水色の体内に、赤い球体がある。


 生命の根源――核だ。


 核を破壊すれば、スライムキングは死ぬ。


「でも、どうやって核を叩けば……?」


 亜美が核を指さす。


「あいつを【分裂】させればいい……」


 スライムキングの持っているスキル【分裂】を利用する。


「俺たちが攻撃すれば、あいつは【分裂】する。それで本体の防御力が下がるから、そこを俺が叩く」

「それじゃ、優斗が危険すぎるんじゃ……」


 スライムキングの懐に入る。


 たしかに危険なことだ。


 だが、核を直接攻撃するにはこれしかない。


「湊川くん……危険だよ」

「み、湊川くん……とっても心配……」

「主人よ、やはり危険じゃ……」


 委員長、黒崎、コレットが俺を心配してくれる。


「みんなはできるだけアイツを挑発してくれ。核から注意を逸らしてくれ」

「「「「うん!」」」」


 亜美、委員長、黒崎、コレットは、バラバラになって、スライムキングを攻撃する。


「すらああああああああああああっ!」


 俺の予想通り、スライムキングは分裂していく。


 (よし。これで核のある本体の防御が薄くなる)


 ここまでは想定通りだったが、


「きゃああああああああああああっ!」


 スライムキングの分裂速度は凄まじく、亜美たちはスライムキングの分裂体に囲まれる。


 分裂体は亜美たちに絡みついて……


「きゃあああっ! み、見ないでえええっ!!」


 (ふ、服を溶かしている……っ?!)


「湊川くん……見ないでっ! 恥ずかしいからあっ!」

「み、見ないでっ!(湊川くんに見てほしい……)」


 委員長も黒崎も叫びまくる。


 コレットは――


「主人よ。我の裸体を見るがよい……っ!」


 よかった。大丈夫そうで……いや、そんな場合じゃなかった。


 スライムキングの体液には酸が含まれていて、


 亜美たちの服を、溶かしてしまった。


「あんっ! はあああんっ! らめええええええええええっ!」


 亜美が嬌声を上げる……!


 スライムキングの触手が、身体を舐めるように締め付ける。


 (このスライムは、絶対に♂だな……)


 いや、いやいやいや、仲間を苦しめるスライムキングを早く倒さないと……!


「主人よ、なかなか激しいではないか! 共に桃源郷へ行こうぞ!」


 約一名、変なことを言っている奴もいるが。


 仲間を犯すモンスターを、許すわけにはいかない。


「はあああああああっ! 消えろおおおおおおおおおおっ!」


 俺は本体の核に、ミスリルの剣を突き立てる。


「ぐ……っ! 熱いっ!!」


 核の付近の体液は、強烈な酸がある。


 普通の人間なら、腕を溶かされていただろう。


 だが、


 「あああああああああああああっ!」


 ミスリルの剣が、核を貫く!


「すらああああああああああああああああああああああああ!」


 スライムキングの断末魔。

 

 しゅうううううう……


 スライムキング、消滅。


 (ゴーレムを喰ってよかった……)


 ゴーレムの死骸を粉末状になるまで細かく砕き、


 水と一緒に飲んでおいた。


 ゴーレムのスキル【毒耐性】を獲得。


 鉱物系モンスターの【毒耐性】が、酸から俺を守ってくれた。


「ううう……優斗に恥ずかしいところ見られちゃった」

「湊川くんに、はしたないところを……」

「み、湊川くんにいろいろ見られちゃった……(もっと見てほしかったのに)」

「主人、これから契りを交わすか?」


 早くみんなの服をクラフトしないとな。


 

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