第30話 朝起きたら女子に囲まれていた件「み、湊川くんの体温を、もっと感じたいです……」

「ふぁ……おはよう。……えっ?」


 俺の右に、亜美が。


 左に、黒崎が。


 そして、上に委員長が、覆い被さっていた。


 3人の女子が、俺の周りに固まってる状態。


「優斗……もう起きたの? まだ優斗と一緒に寝てたいのに」

「み、湊川くんの体温を、もっと感じたいです……」

「あたしを受け止めて。湊川くんっ! えいえいっ!」

「ぶ……っ!」


 委員長の胸で顔が押しつぶされる。


 こんなんで、今日のボス戦大丈夫か?


 ★


「モンスターって、食べらられたんだ……」

「す、すごいです。湊川くん……」


 委員長と黒崎が、驚いている。


 ドラゴンの肉を、朝食で食べるからだ。


「朝から肉はしんどいけど……食ったら強くなるから我慢してくれ」

「ううん。あたし、お肉大好きだよ」

「あ、あたしもお肉好き……。み、湊川くんが作ったものなら何でも大好き……」


 二人とも、食べることに抵抗なくてよかった。


「……っ! 湊川くんっ! すっごく美味しい!」

「お、美味しい……や、病みつきになっちゃいそう……」

「口に合ってよかったよ」


 二人ともうまそうに食べてくれる。


「…………優斗。あたしも肉、好きだからね」


 亜美が低い声で言う。


 やけにジットとした目で、俺を見てくる。


「どうした? 体調でも悪いのか?」

「ふーんだっ! 優斗のばかぁ」


 プイッと、そっぽを向く亜美。


 (今日はなんか変だな……)


「……! み、湊川くん!」


 黒崎が叫び出す。


「どうした? 何かあったのか?」


 シーカーの黒崎は、クラスメイトに動きがあればすぐにわかる。


「……笹山くんといる女子たちが、次々と——」


 黒崎の顔が青ざめる。


「まさか」

「殺されている……」



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