第11話 委員長は泣きながら激しく後悔する「湊川くん、本当にごめんね……あたしのこと、守ってくれたのに……」 有栖川視点

 ——優斗たちが温泉でまったりしていた一方その頃。


 笹山たちと一緒にいる委員長の有栖川は、


 森のフロアで、一夜を過ごしていた。


 草むらで眠りに着こうとする。


 ……フェンリルのフロアから階段を登ると、森のフロアにたどり着いて。


 雑魚モンスターを狩った後、


 笹山たち一行は、休むことにしたのだが、


「うふふっ! 笹山くんったらー!」

「ヘッヘッヘ……! いいだろ?」

「もおー! エッチなんだからー!」


 笹山は自分好みの女子たちを囲って、


 いろいろ【お愉しみ】のようだった。


 散々吐きまくったおかけで、毒は治ったらしい。


「あああああんっ♡♡♡ 笹山くーんっ♡♡♡」


「はあ……眠れないじゃない」


 女子の何人かは生き残るために、


 笹山に媚び始める。


 笹山に身体を、許す者さえ現れた。


「これじゃまるで……【ハーレム】じゃん」


 笹山のハーレムに、吐き気がする有栖川。


「でも、きっと私のせいよね……」


 有栖川は、激しく後悔していた。


 優斗の追放を、止められなかったことを。


 (湊川くんを追放してから、笹山くんがおかしくなったのよね……)


 優斗を追放をしてから、笹山はドンドン傲慢になっていった。


 自分が他人を追放できることに、喜びを感じているのだ。


 クラスメイトたちは追放されることを恐れて、笹山を持ち上げまくる。


 今や、誰も笹山を止めることができなかった。


「あたしダメだから……委員長として、みんなを守れないといけないのに……」


 クラスメイト全員を守る——異世界に召喚された時、有栖川は誓っていた。


 しかし、優斗の追放を止められなかった。


「あたしが弱いから、湊川くんを守れなかった」


 有栖川のスキルは——【経験値分配】


 戦闘では役に立たないスキルとして、優斗と同じように【ゴミ】扱いされていた。


 しかし、実は、とんでもないチートスキルで。


 有栖川も笹山も、まだそのことに気づいていなかったのだが——


「湊川くん、本当にごめんね……あたしのこと、守ってくれたのに……」


 修学旅行のバスの中で、


 笹山に文庫本を取り上げられた時、


 優斗だけが、有栖川のために立ち上がってくれた。


 周りのクラスメイトは、笹山を恐れて見て見ぬふりをしたというのに。


 (あたし、最低だ……っ! 助けてくれた湊川くんを見捨てるなんて……)


「ごめん、なさい……湊川くん……っ!」


 ひとり涙を流す、有栖川。


 身体を震わせて、後悔する。


「はあはあ、笹山くん、もっとちょうだい〜〜♡♡♡」


 女子の喘ぎ声が聞こえて。


 (ダメだ。あたしはここにいちゃ、ダメなんだ……)


「湊川くんを、探そう。笹山くんから早く離れないと……」


 有栖川は決意した。


 笹山たちから、離脱することを。


「冷遇されている子たちを、なんとか引き込まないといけない……」


 有栖川離脱計画——


「バレないように、こっそり進めないとね……」



 ——この後、笹山は重要な戦力を一気に失うことに。


 気づいた時には、もう遅かった……



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