第3話 ゴミスキル、鑑定を授かる。※クラスメイトにバカにされたけど実は最強スキルです

「スキルあげますっ! みんな並んでね!」


 スキルの付与が始まる。


 女神の前に一列に並んで、1人ひとりスキルをもらう。


 スキルとは、魔物と戦うための異能だ。


 異世界から召喚された勇者たちしか使えない。


 最初に何のスキルをもらうかで、迷宮の攻略難易度はまったく違うが……


「ササヤマくん、あなたのスキルは……剣聖ですっ!」

「け、剣聖?! なんかすげえ強そうだな」

「剣士系の最上級スキルよ! ササガワくんには期待してるわっ!」


 笹山は剣聖のスキルか……


 たしかに戦闘面では強い。


「サクラニワさん、あなたのスキルは……賢者です!」

「ウソっ! すっごい強そうじゃん!」

「魔術系の最上級スキルよ! サクラニワさん、頑張ってね★」


 桜庭は賢者。


 魔力が強いから、いろいろ使えそうだ。  


【さすが笹山だな……剣聖めっちゃ強そう】

【桜庭さん、強い魔法いっぱい使えるんだ】

【あの二人がいれば、なんとかなるかも!】


 クラスメイトたちの、安堵の声。


 クラスのリーダー二人が、強スキル持ちなんだ。


 ホッとするのも、無理はない。


「で、次は……ミナトガワくん、こっち来て」


 俺の番だ。


 俺は女神に呼ばれて、魔法陣の上に立つ。


「ミナトガワくんに、スキルを付与します……っ!」


 俺は青い光に包まれて。


「えーと、ミナトガワくんのスキルは……鑑定です!」

「か、鑑定……?」

「魔物や道具の調べるスキルです。あんまり強くないスキルだね。ていうかザコかな? ま、ドンマイっ!」


 女神に肩を叩かれた俺。


【湊川のスキル、鑑定だってよ】

【めっちゃくちゃ弱そうw】

【ゴミじゃん】


 クラスメイトがバカにしてくる……


 まあ無理もない。


 鑑定は、戦闘に直接役に立たないスキル。


 だが、この迷宮攻略では、かなり有能だ。


 前回、鑑定スキル持ちの奴は貴重だったが……


「はははっ! 湊川らしいゴミスキルじゃねえか! 安心しろ。俺がザコのお前を守ってやるからよーっ!」

「クスクス……っ! 陰キャの湊川らしいじゃん! あたしたちの足、引っ張らないでよねー!」


 笹山と桜庭が、俺を嘲笑する。


「いや、鑑定スキルはいろいろ役に立——」


 迷宮攻略には、戦闘スキル以外の補助スキルも大事だ。


 前回、攻略した俺は、それがわかってる。


 クラスメイトを守りたい——


 俺は笹山と桜庭に、鑑定の有用性を説明しようとするが、


「ゴミ湊川のゴミスキルが役立つわけねえだろっ! 雑魚のくせにイキってんじゃねえっ!」

「そうよ! 陰キャモブのくせに生意気よっ!」


 全然聞く耳を持たず——


「はいはいっ! 仲間割れはやめてねー! これから皆さんに【英勇選定】に参加してもらいます!」  

  



 ——この時、笹山と桜庭は気づいていなかった。


 いじめていた湊川が、正しかったことに。


 気づいた時には、もう遅い。




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