第8話「さよなら」

死の航路に

立っている

それは皆同じ

不死の航路などない

生きる道は最後には死へと繋がっている


この死を知った瞬間

生きたいと誰もが思うだろうが

ただそこに歓喜している

ならず者もいる

それが私だった


命があるから

悩みはつきない

その付きまとう影が

ただ重くなり

身を引きずりながら

いつからか、逃げるだけの人生になっていた


そんな頃から

死を意識し始め

手段は問わないから

死にたくなった


殺しさえ考えたが

自殺の方が楽そうで

環境を一変させるには死ぬのがいいだろう


もう誰も何も

求めてない

私に必要なものなんて

よく考えたら何もなかった


だから死んだって同じこと

生きる意味なんてないんだ


ねぇあなた

そう、そこのあなた


私は、どう見えてますか


死を抱えているように見えますか

分かりませんよね


そうです

私にはそうした心通じる相手がいないんです


だからあなたも私を知らない

私もあたなを知らない


そんな世界がずっと

今まで

誰とも通じ合えず

家族さえ理解しあえず


そうした世界が

当たり前で

孤独と寄り添う他なくて

その冷たさに


もう耐えれないから

死が手招きしてるから


私は死にます

ありがとう、ごめんね。


天国で上手くやっていけ、と

それだけでいいですから

願ってくれたら嬉しいです


それだけです

さよなら。

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