第179話 ノル箱ちゃんねる めのラジ! 六月配信号
「はーい、ノル箱ちゃんねるを御覧のみなさま! お待たせしました。月に一回、『ノルニルの箱庭』公式放送『めのラジ!』、更新情報のお時間です!」
ノル箱公式広報コスプレイヤー、紅めのうの第一声からノル箱ちゃんねるは始まる。
今日もキービジュアルに載っていた少女の衣装を着ていて、どちらかといえばめのうの服という印象が日に日に強くなっていくようであった。
>待ってためのちゃ
>はじまるはじまる
>でも今日はそんなに発信することなくね?
>一ヶ月前に大型アプデ来たばっかだしな
「ありますよ! 確かに大型アップデートの時と比べたら小粒かもしれませんが……あっ、ちゃんねるはそのままですよ!?」
コメントを拾って喋った直後、わずかに減った閲覧者数に焦るめのう。
この配信もお仕事ゆえ、閲覧者を削るような真似は許されない。
とはいえ、細々とした更新情報を伝えるだけの時もあるので、大会の配信や大型アップデートの情報を発信する時と比較すると閲覧者数は大きく劣る。
「小粒な情報でも結構大事だと思いますから! 特に、次回の全国大会を目指す方たちにとっては!」
>ほな、ちゃんねるはそのままにしといてやるか
>俺はめのちゃを見に来てるから情報はどうでもいい
>今日もかわいいな、うちの紅は
>は? めのうはオレの娘なんだが?
>めのママは俺のママだが?
「みなさんのママでも娘でもございませんので、現実にお戻りになってくださいねー。それでは早速、更新情報をお伝えしていきましょう! スライドを出してもらえますか?」
めのうが言うと、画面が切り替わり、定型のいつも使われているスライドが現れる。
『更新情報 そのいち!』
「まずは恒例のガチャ情報です! 今月の衣装・デッキホルダーガチャは『蒼月の支配者』シリーズとなります!」
蒼い月を背景に、空を飛ぶ人影。
夜闇にローブをはためかせるその姿はどこかで見たことのあるような。
>LSコスじゃねーか!
>話題のプレイヤーを早速擦っていくゥ!
>冷静な頭で見ると中二病半端ないな
>冷静じゃなくてもそうだゾ
「違います、LSさんの衣装ではありません! ……とのことです!」
>嘘つけ!
>すっかりめのちゃも運営に染まっちまって……
>最初から運営側定期
>運営は嘘が下手だなぁ……!
「話題に上がるプレイヤーを思い起こすかもしれませんが、今回実装するガチャはきちんと一から作成した、高級仕様となっております!」
紅めのうはもらっておいた仕様を確認しながら言う。
「こちらのローブは最大七色、五パターンまで切り替えが可能となっており、LSさんのフォロワーになるか、お偉い方々のお忍びを疑似体験するか……使い方は自由自在です! デッキホルダーの大鎌も、色とは別に紋様が五種類から選択できます! 決して弊社の中に、死神に影響を受けた者がいるとかではありません! ……なにこれ?」
>めっちゃ影響受けてて草
>右手と眼球が封印されてそう
>LSはそんなこと言わない
>解釈不一致文言がはえーよwww
「えーと……はい、次!」
『更新情報 そのに!』
「
この情報にはにわかにコメントが盛り上がった。
>ようやくか!
>ファストトラベル用の場所だけあって稼働してなかったもんな……
>長く苦しい旅が終わるのか
>言うてお前らダンジョン行く時しか王都から出ねぇだろ
>必要ないからな
「どうやら皆さんもご存知のようですが、移動用の神秘の陣が張られている場所だけが行き来可能となっております。アルマくんの行動範囲が広がるのに合わせて解放されていくとのことですので、あんまりアルマくんをいじめないであげてくださいね」
>詐欺られまくってるのバレテーラwww
>バレないはずがないんだよなぁ
>あれだけ酷い目にあったのに、それでも片っ端から詐欺に引っ掛かっていくのはいっそ芸術的だぞ
「ちなみに、解放されてからしばらくの間は使用費用が掛かります。これもアルマくんの進行度に合わせて減額、最終的には無くなる予定とのこと!」
>あっ……
>ほなら……しばらくはアルマくんに費用出してもらおか……
>厳戒態勢!!! 町を歩く時はアルマに目隠しを付けろ!!!
>卑怯なりアルマ・ガーディアンズ! 目に入ったもの全て気になってしまうアルマの弱点を隠すとは!
>そのへんの石ころを「月の石」とか言って買わされてんだぞ!? さすがに隠すわ!
>自慢気に「月の石を入手したぞ!」ってキラッキラの瞳で報告される身にもなってくれよな
みんなだいすきアルマ・ハーシェルの話題を出したら明らかにコメントが加速した。
もっとストイックで勇気溢れるカッコいいキャラクターのはずだったのに、いつのまにかかわいそかわいいイジられキャラになってしまっている。
平時はそれでもいいのかもしれないが、あんまりにも貧乏だと有事に活躍する余裕もないだろうからほどほどにしてあげてほしい。
「そして、次の情報が今回の発信内容としては最後になります!」
『更新情報 そのさん!』
「昨年もおかげさまでたくさんのプレイヤーにご参加いただきました『ノルニルの箱庭』全国大会――約半年にも及ぶ予選リーグの開催が決まりました!」
>もう情報出んのか!
>半年……?
>長すぎてワロチ
>スポーツのシーズン戦みたいな感じになんのかな
「予選リーグは夏の盛りに始まります! スタブライト王国の誇りたる、
プロモーション用に手配されたポスターには、儚げな仕草で立つ第一王女シャルノワール・アズール・スタブライトの前に、彼女を護るようにして剣と盾を構える女性騎士が大きく映っていた。
「この大会を筆頭に、期間中に開かれる様々な大会で規模や順位に基づきポイントを付与いたします! そのポイントを期間中に多く集めた方が全国大会に出場できる、という次第となっております! 『
>げっ、マジか……!
>まだ一ヶ月以上あるから準備には十分だな
>はちゃめちゃに人数が集まりそう……
>騎士には別になりたかないんだが
>優勝してから言えよ
「後ほど全国大会についてはポータルサイトが公開予定です! 参加するにはエントリーが必要なので、ご希望の方はエントリー忘れずに!」
めのうはここで可愛らしく指を立てて、カメラに寄った。
「皆さん、奮ってのご参加、よろしくお願いしますね?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます