第16話:花の紹介。コラボ配信とは
コラボ配信。
それは通常1人で行う配信活動を2人以上で一緒に配信を行うことである。
ざっくり言ってしまえばVtuber同士の交流を、配信に載せちゃおうという配信だ。
私自身、何度かコラボ配信を行ったことがあるけれど、そのどれもが突発的にやることはほぼない。
ちゃんと計画を練り、宣伝をしっかりと行った後に、楽しく配信する。実は結構大変なことだったりするのだ。
リスナー需要がなくてもやりたい時にやっても、人は散発的。さらに言えば通常の配信より少なくなってしまうことだろう。
これはある種の博打みたいなもの。
Vtuber同士の連携が取れればコンビとしてウケるし、逆もしかり。
まさにVtuberの、ひいてはコミュ力を試されているのだ!!
「へ、へぇ……」
「ま、仰々しく言ったけど、要するに楽しもうって話だね」
ソロ配信を終えて、さて次は何をしようと悩んでいた瑠璃ちゃん。
そんな彼女を誘ってコラボ配信のなんたるかを座学していたところだ。ちなみになんの役にも立たない。
確かにリスナー需要云々はあるけど、今の瑠璃ちゃんの配信相手って、ほぼ私のリスナーみたいなところあるし、その辺は大丈夫かなって。
「つまり、お姉さんと一緒にコラボするってことですか?!」
「うんまぁそうなるね。そんなに食い気味で言わなくても」
「そうなんですね!!!」
どんだけ楽しいだったんだろう。かわいいな。JKは眩しい。
私もイメージしているところでは高校生が放課後に教室で、やいややいやしているゆるーい配信を目標にしているんだ。私にもあったな、灰色の青春。友だちは居たけど、恋人なんて忙しくていなかったよ。
「それで、どんなことをする予定なんですか?」
「それなんだよ。何したい?」
「え?」
決まってないのである。
そう。とりあえずコラボ配信する、とは言ったものの大抵の場合『したい!』だけが先行して、内容を考えていないことなんてよくある。Vtuberあるあるの1つに数えてもいいね。
しかもそういう時に限って、なかなか決まらなくてなぁなぁになって、予定も決まってないのでなんとなく流れていくパターンなんて数え切れないほど見てきた。
それだけ重要なのだ。Vtuberの予定はいつも配信と作業で埋まっている。
意外と声をかければ暇だけど、とにかく配信と作業で埋まっているのだ!
だから予定、内容。そして相談。これが何よりも重要。瑠璃ちゃんにはこれを覚えて帰ってほしい。
と、それはさておき。何をしたいかを聞いているものの、私が何をしたいかは、実は決まっていたりする。
「うーん、ゲームとかですか?」
「私じゃなくて、瑠璃ちゃんのしたいこと!」
「えーっと、すみません。なんか漠然としていて分からなくて」
「フッフッフッ。そうだろうと思って、考えてきたよ!」
今のちょっと性格悪くない私? だったら先に言えよとは思ったけど、そこはほら。ごめん許して。
「瑠璃ちゃんって自己紹介配信はしたでしょ? でも緊張しててガタガタだった」
「うぅ……。そ、そうでしたけど」
「だから私たちのことを知ってもらうために、もう一度比較しながら紹介配信をしたいなーって」
瑠璃ちゃんの、もといしずくちゃんの配信は、とても初配信らしかった。
だから緊張してて声は小さいし、しどろもどろだったし、噛み噛みで結構見ている方はきつかったのではないだろうか。
それが初配信と言えばそうなのだが、それでしずくちゃんの100を伝えられるかと言われると難しい。
10は伝わったかもしれないけれど、それ以上ではなかったはずだ。
だから今度はコンビとしての初配信。
私がサポートしながら、瑠璃ちゃんも安心して自分のことを伝えられるように。
「仲の良さをアピールしながらね」
「おぉ……っ! お姉さんがまるで出来てる人に見えます!」
「瑠璃ちゃん、たまに私のこと貶してくるよね」
「え、あぁ。でもお姉さんの生活態度はボロボロなので」
「刺さること言うなぁ……」
確かにボロボロですけど。ですけどぉ!
ちゃんと朝は起きれてるし、夜に寝てるよ! それだけでも褒めてほしい。
ほかは壊滅的だけど。
「でも紹介って、自分の好きなこととか苦手なこととかはちゃんと画像を出して言えましたよ?」
「そうだね。それはしっかり見たよ」
私が作ったからねぇ。
配信でもちゃんと言えてたけど、私が言いたいのはそれ以外の情報についての話だ。
「でも例えばね? 私、瑠璃ちゃんがゲームが好きとか聞いたことないんだ」
「えっと。ソーシャルゲームなら」
「うんうん。気になるものとかは?」
「あー、えっと……」
「つまりね、私が気になることを瑠璃ちゃんに聞くの。瑠璃ちゃんはそれに答えて、逆もしかり」
「わたしがお姉さんに質問?」
そうそう。大正解だ。
「要するにお互いに質問して、仲を深めながらリスナーさんにもお互いを知ってもらう。それが今回のコラボ配信なの!」
「それは、いいですね!」
「でしょう! ほぼ知り合いからの受け売りだけどね」
私が初コラボした時にやったことをほぼそのまんまコピペしたようなものです。はい。
とはいえ、お互いを知るにはこれ以上にないコラボ配信だと思う。私も知れるし。最近どんな感じなの? みたいな黒いグラサンかけて、そーですね! っていう番組みたいに。
「では質問を持ち合って、答えは配信の時に?」
「そそ。答えられなくてグダるとかしたくないからね。で、それからそれから……」
こうやってスムーズに予定を組み立てていくのは楽しい。
話し合ってコラボの内容が決まっていくし、何よりどんな質問が来るか楽しみだからだ。
まぁ、そんな中で来た質問にはてなを宿すものがあったのは、この際彼女には黙っておこう。
「気になっている人はいますか? って。これ……え?」
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