第28話 かたわれどき(作者のミスです。正確にはかわたれどきです)

 僕の想い人は、赤ん坊の頃からずっと一緒にいた、幼なじみだった。

 彼女はとても美しい人だったけれど、体が小さく弱かったことから、よくいじめられていた。

 幼なじみとして、僕は彼女を守ることが多かった。幼なじみだから、なんて言い訳をしたけれど、本音を言えば好きだった。好きな子を守るのは当たり前の話だろう?

 幼なじみから、恋人同士になるにはそう時間もかからなかったよ。

 恋人同士になってからも仲良くしていた。疫病が、彼女を襲うまでは。

 病に倒れた彼女は、どんどんやせ細っていった。

 僕は彼女を失う恐怖に耐えきれず、彼女を助ける方法を探して駆けずり回った。ようやく見つけた方法が禁忌でも、手を出すことを厭わなかった。

 彼女の病気が治って、彼女の体が変わって、僕は怖くなった。

 彼女がどこか遠くへ行ってしまうんじゃないかと、一度感じた不安はどんどん膨れ上がっていった。

 僕は彼女の自由を奪った。自由な彼女が好きだったのに、僕は自らの手でそれを絶った。

 彼女は僕の身勝手を許してくれたけど、僕は自分の身勝手さに吐き気がした。僕は死ぬまで彼女とそばにいたけど、結局彼女の心はそばにいたのか、分からなかった。

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