第19話 置き去り

 雪がチラつくようになった。秋はわずか三日ほどで過ぎ、体調を置き去りにあっという間に世間は冬を迎えた。

 一体秋はどこへ行ってしまったのだろうか。夏と冬が幅を聞かせているせいで、春と秋の肩身が狭そうだ。

 急に冷え込んだおかげで、風邪を引いた。

 体調を崩すのは久しぶりのことだ。軽い咳からはじまり、夜には一気に熱が上がった。

「大丈夫?」

 咳き込む私に心配そうなナツメさんの声に、何とか「多分ね」と答える。

 母親が看病のため部屋へ入ってくるので、ナツメさんはリュックサックの中に入ってもらっている。

 熱に浮かされた頭でぼんやりと考える。

 やっぱり、ナツメさんも幼なじみの彼と再会したいのだろうか。たとえ、独占するために首を切った相手でも?

 私には分からない愛のカタチだ。いくらアンデッドとは言え、ナツメさんをどこにも行かせないために首だけにするなんて正気の沙汰じゃない。

 でも、きっとナツメさんは幼なじみの彼さんを、愛してる。

 これは私のわがままだろうか? ナツメさんと離れたくない、なんて――

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