第19話 置き去り
雪がチラつくようになった。秋はわずか三日ほどで過ぎ、体調を置き去りにあっという間に世間は冬を迎えた。
一体秋はどこへ行ってしまったのだろうか。夏と冬が幅を聞かせているせいで、春と秋の肩身が狭そうだ。
急に冷え込んだおかげで、風邪を引いた。
体調を崩すのは久しぶりのことだ。軽い咳からはじまり、夜には一気に熱が上がった。
「大丈夫?」
咳き込む私に心配そうなナツメさんの声に、何とか「多分ね」と答える。
母親が看病のため部屋へ入ってくるので、ナツメさんはリュックサックの中に入ってもらっている。
熱に浮かされた頭でぼんやりと考える。
やっぱり、ナツメさんも幼なじみの彼と再会したいのだろうか。たとえ、独占するために首を切った相手でも?
私には分からない愛のカタチだ。いくらアンデッドとは言え、ナツメさんをどこにも行かせないために首だけにするなんて正気の沙汰じゃない。
でも、きっとナツメさんは幼なじみの彼さんを、愛してる。
これは私のわがままだろうか? ナツメさんと離れたくない、なんて――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます