第8話 鶺鴒

 本棚から鳥の図鑑を引っ張り出す。図鑑を開くのは小学生ぶりだろうか。カラーイラストの中に、目的の鳥を見つける。

「いた、セキレイ!」

「どうしたの?」

 机の上にいたナツメさんが、広げられた図鑑を覗き込む。

「さっきね、外で見かけたの。何て鳥だったかなーってこう、小骨みたいに引っかかってて」

「それで図鑑引っ張り出したってワケね。へぇ、鳥の図鑑なんて持ってたんだ」

 意外そうなナツメさんの言葉に、「まぁね」と返事をする。

 子供の頃から好奇心旺盛で、知らないものに何かと首を突っ込んでいた。

 両親は私の好奇心旺盛なところを良いところだと褒めてくれ、こうして図鑑まで買い与えてくれた。

 おかげで今では植物にぶら下がる生首まで家に連れ帰ってしまう始末だ。未だに怖がりな母親にはナツメさんのことは言えていない。

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