第7話 まわる
「たっだいまー」
「おかえり」
私が旅行から帰ると、ナツメさんはいつものクッションの上にマフラーを巻かれた状態でいた。
「なんでマフラー?」
「お兄さんが「この時期に生首じゃ寒いだろう」って巻いてくれた」
ナツメさんはマフラーで口元まで覆われている。ずいぶんとしっかり目に巻いて行ったようだ。
「ふぅん」
相変わらず感覚がよく分からない兄貴である。まぁ、ナツメさんに親切だったみたいだしいっか。
「オフ会楽しかったよ。お土産はねぇ、じゃーん! 洋酒入りのチョコレート!」
「おお、美味しそうじゃないの」
「東京しか出店してないお店のチョコだよ。すっごく並んだんだから」
ナツメさんに巻かれたマフラーをずらし、口にチョコを放り込む。
「どう? 美味しい?」
「うん。なめらかな口当たりでとても美味しいよ。んふふ、んふふふふ」
突然笑い出したナツメさんに、チョコを自分の口に入れようとした手が止まる。
「え、なに。急にどうした?」
「んふふふ。目が回ってきたよんふふふ。んふふふふ」
えー。もしかして、ナツメさんって相当お酒に弱い? まさか洋酒入りのチョコでここまで酔っ払うとは……。本人は楽しそうだからいいか。いいのか?
首をかしげながら、私は笑い続けるナツメさんを横目にチョコを自分の口に放り込んだ。
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