第5章 討伐、そして伝説へ
第79話 食事
……その後、私が夕飯を作り、純ちゃんに振舞ってあげた。
ずっとコンビニのご飯じゃ……栄養偏っちゃうからね。
「い、いただきます……」
「召し上がれ」
自分で言うのもなんだが、1人暮らしが長い事もあって、料理に関しては自信がある。
純ちゃんの舌に合うかは分からないけど……。
今回私が作った料理は、得意料理のミートソーススパゲティと、グタランスープと、ついでにサラダだ。
ミートソースはその辺の缶詰よりも美味しいと自信があるし、グラタンスープは簡単にできてかつミートソースにピッタリだ、サラダも……コンビニで売られているモノよりかは美味しいはずだ。
「ど、どれからいただきましょう……」
「好きなものから食べていいよ」
「じゃ、じゃあ……スパゲティから……」
純ちゃんはフォークにパスタを巻き付け……口の中に運んだ。
パスタをゆっくり咀嚼し……飲み込んだ。
純ちゃんは……そのまま硬直してしまった。
も、もしかして……。
「お、お口に合わなかった?」
私は純ちゃんにそう問いかけるが……返事は無かった。
それか、もしかして……火傷?
そう思ってもう一度質問しようとすると……純ちゃんは……。
「……うぅ」
「じゅ、純ちゃん!?」
純ちゃんは……大粒の涙を流し始めた。
「おい……ひい」
「……え?」
「このスパゲティ……とても美味しいですぅ……」
「そ、そんなに?」
な、涙を流すほど!? それはちょっとオーバーじゃないかな?
「すみません……あまりの美味しさに……」
「あ、うん……ほら、涙拭いて」
私は咄嗟に、ティッシュを複数枚差出した。
純ちゃんはそれを受け取り、涙と口元を拭いた。
そ、そうだ、私も食べよう……。
「いただきます」
私もパスタとスープを口元に運び……自分が作った味を堪能した。
「本当に、仮に僕たちが付き合ったら、この味をずっと味わえるのでしょうかね」
「んんん!?」
純ちゃんの突発的な発言に、つい吹き出しそうになってしまった。
「ちょ、ちょっと純ちゃん! い、いきなりそういうこと言うのやめてよ……」
「あ、す、すみません……」
「全くもう……」
純ちゃんったら……いちいち大胆なんだから……。
「……ふふふ」
「……あはは」
私たちは……お互いに笑った。
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