第78話 告白

「ありがとうございます、美羽さん……気付かせてくれて」

「い、いや……私はそんな大層なことをした覚えは……」

「いえ、美羽さんはそれほど大層なことをしましたよ……」

「じゅ、純ちゃん?」


 純ちゃんは……私の手を……自分の両手で包み込んだ。

 な、なに突然!?


「美羽さん、貴方は覚えていないかもしれませんが……僕は貴方に救われたことがあるんです」

「え?」

「僕が自分が何なのか迷った時……美羽さんは言ってくれました、貴方は貴方だと……」


 それって……純ちゃんが前に言ってた「救われた言葉?

 私……そんなこと言ったっけ?


「僕はずっと、貴方の配信を追っていました、実は……最初のコラボの時も、貴方を救いたくて、あそこのダンジョンまで向かったんですよ」

「あ、そ、そうだったの……」


 嘘……純ちゃんが、私のリスナー?

 え、じゃあさっきの言葉って、質問コーナーの時とかに答えたのかな?


「ずっと配信を追っていて……僕は気づいたんです、これはきっと……特別な気持ちだと」

「そ、それって……」


 え? ちょっと待って……これはまさか……


「純ちゃん……僕……美羽さん……いや、『靖子さん』のことが、好きです!!」

「え、ええ!?」


 な、なに!? じゅ、純ちゃんが……私の事、すすすすすすすす、好き!?

 こ、この子突然何言いだしてるの!?


「な、何言ってるの純ちゃん!?」


 す、好きって……そういう意味!? そういう意味なの!?

 な、なんで突然!? し、しかも今お互い裸だし……あぁもう!


「そ、そのままの意味です……靖子さんの、その正直な気持ち、その戦う姿……そして……僕に勇気をくれた事……全てが好きです!!」

「……」


 純ちゃんの突然の告白に……私は驚きのあまり、絶句してしまった。

 そ、そりゃあ、純ちゃんはかっこいいし、強いし……かわいい一面もあるし……視聴者からカップリングされたりとか、色々意識はしてたけどさ……。

 で、でもこれ……どう飲み込めばいいわけ!? ちょっと頭が付いていけないんだけど!?

 と、とりあえず……へ、返事を言えばいいの? で、でも、今ここで返事を言うのは……でも……純ちゃんなら……。

 へ、返事……言うか。


「あ、あの、純ちゃん……」

「あ、ちょっと待ってください!」

「んんん!?」


 純ちゃんは……私の口を両手で抑えた。


「い、今は……返事は、待ちます!」

「んん?」

「あ、あの……今は、起きている問題を解決するところから……そうですよね?」


 ……うん、今は、センテンドーの社長……大森社長を何とかしないとね。


「そ、それじゃあ……出ましょう……『美羽さん』」

「……うん!」


 私たちは湯船から上がり……両腕を絡ませながら、風呂場を後にした。

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