第11話 なんか楽しいかも!

『どうなっちゃうの?』

『美羽ちゃん頑張って!』

『俺ちょっと武器準備して助けに行ってくるわ、場所どこ?』


 コメント欄は私を心配する声で溢れかえっている。

 助けに来ようとしている人もいるみたいだが、心配はご無用……私にはこれがある!


「食らえ!」


 私は腰に装備していた武器……「クナイ」を投げつけた。

 すると、私を武装解除させたコボルトが煙になり、ついでに後ろにいた奴らも同様に煙になり、魔石を落としていった。

 まだまだ武器はありそうだ……何かないかな……。

 この携帯……何かほかに仕掛けが? 気になって操作してみた。


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武器:父の形見のクナイ 装備中

   母の形見の手裏剣

   師匠が作った名刀シノビザン 装備中


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 手裏剣……これだ! ……そういえばクナイと手裏剣って形見って設定だったな、というか師匠って誰だっけ? まぁいいや

 私は手裏剣の項目をタップしてみると……手裏剣が手元に現れた。

   

「ついでにこいつも食らえ!」


 なんとなく手裏剣を投げつけると、追尾弾のような動きをし……コボルトに命中した。

 コボルトは呻き声を上げ、魔石を生み出して消えてしまった。


『やべぇ、ガチ恋勢になりそう』

『純様もカッコよかったけど……この子もカッコいい……チャンネル登録しよ』

『井上純のファンだけど、美羽さんも応援するわ ¥500』


 ……お、井上純のファンも私を絶賛してる。

これは嬉しい。

 それじゃ、ちゃちゃっと一掃しちゃいますか!

 私は落とした刀を拾い上げ、コボルトどもの掃除を始めた……。


「とりゃああああああ!!」


 目についた奴は全て切り裂いた。

 奴らは煙と共に魔石になっていき、気が付くと、辺り一面砂利道のようになっていた。

 なんか……楽しくなってきちゃったかも!


「このままどんどん行きますよ! 皆さん!」


 私はドローンカメラに向かってそんなことをアピールすると……。


『美羽ちゃん! 世界一かっこいいよ! ¥2000』

『どんどんやっていけ ¥5000』

『仕事で疲れてたけど、こういうの見るとなんかスッキリする ¥1000』

『¥10000』

『頑張れ! 美羽ちゃん! 少額だけど許して! ¥500』

『¥50000』


 投げ銭ラッシュに突入したのか、コメント欄が虹色に輝いた。

 一部、無言で高額投げ銭していく人もいた。

 それに乗せられた私は、そのまま攻撃を続け……気が付くと、コボルトの姿は……完全に消えた。

 ……やってしまった、私が。

 これを……全て。


「……凄い」


 ……後ろでずっと見守っていた井上純が、ボソッと呟いた。

 私はその言葉で、自分がやったことが現実だと気が付く。

 わ、私が……これを……な、なんていうか……。


「……これ、楽しいかも!」


 私は思わず、そんなことを口にした。


『やべぇよ……戦闘狂が誕生したぞ』

『井上純軽く引いてて笑う』

『そのままどんどんいけ』


 期待で溢れるコメント欄……ここは、それに応えなきゃプロじゃないよね!


「井上さん! 先へ行きましょう!」

「え、えーっと……はい」


 よーし! 私、頑張っちゃうぞ!

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