第10話 トーク
「じゃ、じゃあ先に行きましょうか!」
「は、はい!」
私たちは何事も無かったかのように奥へと進み始めた。
歩きながら……沈黙の時間が流れる。
そうだ、コラボだから何か話題を振らないと……。
「そ、それで、井上さんはダンジョンに入ってどれくらいなの?」
「18歳で自衛隊に入って……21歳の時に除隊して……そこからダンジョン配信者になったので……通算で5年くらいですかね」
「へー……自衛隊って凄いね、匍匐前進とかできるの?」
「それはもう、基本ですから、そうそう! 匍匐前進って段階があって……」
私たちは視聴者を飽きさせないように、会話を続けた。
……正直話題が少なくて会話を引き延ばすのに苦労する……井上純も少々苦労しているようだった……本当に、申し訳ない。
何とか話題を模索しつつ、先へ先へと進んでいくと、先程とは違うモンスターが現れた。
あれは……。
「……狼?」
「コボルトです、さっきの奴らよりも強いですよ……」
私は唾を飲み込み、刀を構える。
落ち着け……私ならいける、私ならいける……。
「ここはボクが……」
「いえ、一応この製品の宣伝のための配信なので、私が行きます!」
「そうですか……何かあったら助太刀します、気を付けてください!」
「はい!」
私は勇気を出して、前へと進んだ。
『美羽ちゃんがんばれ!』
『さっきは井上純に助けられたけど俺は行けるって信じてるよ!』
『頑張れ! 美羽ちゃん! ¥2000』
……皆に期待されている、これは答えなきゃね!
私は刀を構え、コボルトに目掛けて剣を振るう。
すると、奴らは呻き声を上げ、煙と共に大量の魔石を作り出した。
『おお、大量じゃん』
『先ほどまで腰抜かしてた子が強かに……』
『すごい、覚醒した?』
コメント欄は絶賛の嵐だ、これは嬉しい。
このまま調子よく聞こう!
私は刀を自分の腕の一部のように動かし、コボルトどもを一掃していく。
このまま全部煙に……。
「グオオオオオオオオ!!」
「きゃあ!?」
……とまぁ、そんなに上手くいくわけでもなく、コボルトは私の刀を吹っ飛ばした。
まずい、丸腰になってしまった……どうすれば……。
……何か打開策は無いか考え、腰のあたりを触ると……刀以外の何かが装備しているのが分かった、これはまさか……。
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