第9話 男子の草食化、植民地化と格差社会で女の子達が取られちゃう?

 ところで、話を聞いていて、「僕達の世代の男子」は「草食男子」と呼ばれ、まるで「この時のポッシュとそっくり」だと気がついた。僕にも、「みんな草食すぎじゃね?」と思えた「経験」があった。仲の良い友達が好きな子を含む同級生の女子2人と海外に「卒業旅行」をすると聞き、

「チャンスじゃん、この機会に告っちゃえば、もうひとりの子とも仲良いんでしょ?」

 とけしかけたのに、

「いや~、向こうから言ってくれればだけど」

 との答えで、

「Jr.、結局何にもなかったよ」

 という「事件」があったのだ。


その話をしたら、

「私が前世を生きたと思っている西の島国の北部の男性なんだけど、この島国に赴任した時にその国民性や文化が大好きになり邦人女性と結婚し、引退後はこちらに移住しようとしていたんだ。ある時奥さんの姪の結婚式で親子4人で久しぶりに訪れて、『USJ』に行ったんだって。そこで『ハリー・ポッター』のアトラクションに並んでいたら、前に5人組の大学生ぐらいの男の子達、その前に同数の女の子達のグループがいたそうなんだ。みんなは当然『ナンパ』が始まって、『どうなるのかな~』とワクワクしていたら、1時間半も並んでいたのに何も起きなかった。高校生の男の子と女の子だった子供達は、『この男子達は、何であんな可愛い女の子が前に並んでいるのに話しかけないの?おかしいんじゃない?』となり、奥さんが、『ああそういえば、最近この国では若い男の子は『ベジタリアン・ボーイズ』と呼ばれていて、女の子達が話しかけてくるのを待っているって聞いたことがあるわ』、と答えた。それを聞いた他の3人は呆れかえり、長年『この国への移住』を楽しみにしていた旦那さんは、『この国には将来がない!』と叫んで、帰国後は代わりに『東南アジアの某国』について一生懸命研究するようになったそうだよ」

 と、吹き出しながら話してくれた。



「モノを持たない、親と一緒に住む、カーシェアを利用する、コト体験を重視する」など、「ミレニアム世代は世界中で共通している」という記事を読んだ僕は、「他の国でも男子は草食化している」と思っていた。しかし、どうも「草食男子」が生息しているのは、「この国」だけらしい。

「僕達って『絶滅危惧種』?『世界遺産』?そのうち、僕達の生態を観察する『インバウンドのツアー』が組まれるのかもしれない、その前に『ネットフリックスで番組になる』のかも?」

 と思ってしまったのだった。



 亡くなられてしまった安倍元首相と菅前首相のインバウンド推進政策のおかげで、米国の雑誌による「世界で1番住みたい国」ランキングで、カナダを抜きこの国が1番になった。「この島国」の良さが世界的に認められたのは嬉しいけど、そんなに欧米やアジアの人々から人気だったら、「新型コロナウイルス」の流行で「テレワーク推進」が叫ばれる中、オフィス価格の暴落を恐れる大手不動産企業が政府と組んで海外企業をどんどん誘致し、移民を増やしたらどうなるのだろうと、怖くなってしまった。実際、「西の島国の首都」では「白人比率は半分」を切っている。市長は、「パキスタン系英国人」だ。そして、遂に10月には「首相もインド人」になってしまった!



 そこまでいかなくても、「ニセコのように高すぎて行けなくなる」可能性はあるだろう。実は僕は子供の頃から父に連れられてスキーをしていたので、「スキー派」だ。元カノから

「え、ボードじゃなくてスキーなの?お父さんみたい」

 と笑われたこともあったが、意思を貫き大学では「スキー部」に所属した。中学生の頃に家族で最後にスキーに行ったのは「白馬」だった。

「本当はJr. を『ニセコ』に連れてきたかったんだけど、コスパが悪いからやめといたんだ。本州では『白馬』がベストだから、まあ我慢してね」

 父ポッシュが何度も訪れたという「ニセコ」。「特に『ひらふ』のパウダー・スノーを体験すると、他では滑りたくなくなるんだよな~」とも語っていた。それ以来「憧れのスキー場」なのだが、未だに行くことができずにいる。


 なぜって、「ニセコ」は飛行機代もかかるし、ホテルの宿泊料金もバカ高く、この「日の沈みつつある国」の一般人には手が届かない場所になったからだ。良いスキー場がない「南の亜大陸」のお金持ち達に占有されて、ホテルやレストランの公用語は「英語」で、まるで「江戸時代の長崎の出島」のような印象だ。海外資本による「億ション」どころか「10億円を超えるコンドミニアム」も建設されるという記事を目にして、「ますます行けなくなりそうだ」と思ったのはつい昨年だ。この「ニセコ現象」が、他の人気スポットでも起きたら、「この国の一般の方が行けるのは不人気の場所だけになる」のではないか?


「Jr.、東京や京都のホテルやレストランの価格は、N.Y.C.やあちらの島国の首都と同じ価格帯になってしまったんだよ。『失われた30年』でデフレが進行していたため、『帝国』の首都と同じで先進国レベルでは安かったんだけどね」

「一般人が行く店の値段はデフレで安くなっていたんだけど、『高級店』はとっくに高額化しているんだよ、『グローバル化による超インフレ』。だってJr.、『外国人』からしたら、シンガポールやN.Y.C.の『そこそこの味のお鮨屋』さんが4〜5万円なのに、『本家本元の銀座の江戸前鮨』が2.5〜3.5万円なら安すぎだと思うのは当然だろう?、というか今年のインフレと円安でさらに差がついてるはずだけど」

「それと、『アベノミクスによる資産効果』で、『株や家を持っている家庭』と、『株などやらずに賃貸に住んでいるそれ』との『格差』がついてしまったんだ。最近は青山や銀座を走っていると、『メルセデス』や『BMW』どころか、『マセラッティ』や『ベントレー』なども普通に走っているからね。持っている人は、持ってるんだよ」



 この国の人でも「ニセコ」に行き、「銀座のお鮨屋さん」や「ホテル」が高くなっても大丈夫な人が増えたというのだ。昨年、オフィスと高級マンションが併設された「六本木ミッドタウン」にあるスーパーを訪れたのだが、「新型コロナウイルス」流行の時代なのに、「東南アジア人を含めた多くの外国人」を見かけた。「出入国禁止」なのだから、住んでいるのだろう。「都内の高級マンションになればなるほどこのニセコ現象が始まっているのだ」と、父の話が納得できた。


 そして最大の問題は、「可愛いこの国の女の子達が、肉食の彼等や株や家などの資産を持っているお金持ちに取られてしまい、一般男性の独身率が年々上昇してしまうのではないか」ということだ。「この島国に住む為には、この国の人と結婚するのが手っ取り早い」のだから。「中国では家を持っているのが結婚の条件」だそうだが、格差が進むと「この国」がそうならないとは限らない。米国への留学経験がある父によると、「我が国の女性は異性から世界で最も人気がある」のだが、「男性は、殆どの方には意味がないだろう同性にはモテるが、異性からは全くダメ」だそうだ。まして男子が「草食化」している今日では、「こちらの島国の男子はさらにモテなくなっている」のではないのか?


「本当の『麻布生』のように自分の頭で考え、創造力をつけ、起業するまではいかなくても、せめて『肉食化』し、『資産形成』をしないと『結婚』できないんじゃない?」

 と思うこの頃だ。

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