第40話 慈悲

「やあ!」


(あぁ・・・あなた様がこの世界の神ですか・・・)


「そうだよ」


(それでこちらでも僕が無垢になるまで話を続けるんですか?)


「そうだねぇ」


(じゃあ話をしましょうか)


「そうしようね」


(そういえば聞きたい事がありました)


「何だい?」


(僕のママは今どうして居ますか?)


「僕と話をしているね」


(ママと話す事は出来ますか?)


「出来ないねぇ」


(そうですか・・・)


「諦めるのが早いねっ!」


(えぇ・・・仕方ないと知っていますから)


「記憶を引き継いだ生き物だけあって受け入れるの早いねぇ」


(こちらでも受け入れるのが早いと無垢になりにくいんですか)


「こっちでは記憶を引き継いでも異世界に送ったりしないけどね」


(どうしてですか?)


「それは君たち生き物では理解出来ない理由としか言えないね」


(なるほど・・・)


「他に何か言いたい事は無いかい?」


(あぁ・・・僕が前に居た神から宜しくと言われていました)


「神同士の会話を繋いでくれてありがとうね」


(会話・・・ですか?)


「あぁ・・・こうやって他の神の言葉を伝えて来る人の言葉を繋げると直接じゃないけど会話が出来るんだよ・・・今回は宜しくか・・・」


(すごい気の遠くなる話ですね)


「君にはただの宜しくという言葉だけだけど、僕に伝わって居るのはそれだけじゃないんだよ」


(どういう事ですか?)


「僕には君が神っ・・・ってうーん・・・生き物の状態では理解でき無い話になっちゃうね」


(神様は相変らず難しいですね・・・)


「神だからねっ!」


(では話をつづけますか)


「あぁ・・・神の言葉を伝えてくれたお礼に君のママと意思が交わせるようにするよ」


(話す事は出来ないのでは?)


「僕は神だよ?」


(はい・・・そうですが・・・)


「僕は僕の世界ではいくらでも偏在できて存在を変えられるんだ」


(はい・・・前の世界の神様も同じことを言っていました)


「じゃあ君の前で君のママと同じ存在になって、君のママの前で君と同じ存在になったら、会う事は出来ないけれど意思が交わせられるでしょ?」


(そんな事が出来るんですか?)


「出来るよ?」


(あぁ・・・慈悲に感謝します・・・)


「どちらかが無垢になって消えるまでずっと話をするといいよ」


(はい・・・ありがとうございます)


「あ・・・な・・・」


(ママ?)


「消・・・え・・・話・・・聞・・・待・・・」


(ずっと待っててくれたんだね・・・)


「ツユ・・・伝・・・」


(あぁ・・・それはよかった)


「あ・・・が・・う・・・幸・・・」


(あぁ・・・僕も幸せだった・・・)


「あい・・・て・・・」


(僕も愛してる)


「・・・」


(ママ?)


「・・・好・・・」


(うん・・・僕も好きだよ・・・)


「次・・・」


(うん・・・次でも会おうね)


「・・・待・・・」


(うん待ってて!)


「ナ・・・」


(ナツを待てばいいの?)


「そ・・・」


(うんそうする・・・)


「・・・」


(ママ?)


「・・・」


(ありがとう・・・ママのおかげで良い人生だった・・・)


「・・・」

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