第31話 嫉妬

僕と娘はしばらく抱きしめ合っていたけれど、娘が抱きつく力をギュッと強めたと思ったらブルッと震えた後で股間のあたりがモワッと暖かくなった。


「パパ・・・ごめんなさい・・・」

「大丈夫だよ・・・体が冷えてしまったからだよ・・・」


僕は娘の頭の後ろに手を回しポンポンと叩きながら、背中に手を回すとゆっくりと撫でた。


「恥ずかしいけど・・・気持ち良かった・・・」

「もう水が怖く無くなってそうだね」

「あっ!そうだった!」

「ママが待ってるから汚れている部分を少し流して戻ろうか」

「うん」


お互いの股間周りを手で振り払うようにかき混ぜて娘が出してしまったモノを散らすと湖から出るためにママの所に向かった。

時間と空間のエレメントを使役して保管倉庫にしている空間からタオルを取り出し娘に渡す。僕も体を吹こうと保管倉庫に手を伸ばした所でママが近寄って来た。


「ただいま」

「ただいま〜」

「随分ゆっくりだったのね?」

「水に慣れるのに時間がかかってね」

「気持ちよかった〜」

「あら!それなら私にもその気持ちいい事でして貰おうかしらっ!」

「えっ?」


ママが急に服を脱ぎ捨てると僕の手を取りズンズンと湖の中に進んでいった。


「私は火で焚いて暖たまっておくからごゆっくり」

「えっ?ちょっ!えっ?」

「・・・」


娘は湖の岸辺に打ち上がっている枝を拾い初めていた。


「ママ?」

「・・・」


ザブザブと湖に入っていって胸が水に隠れるぐらいに深くなった所でママが振り向いて僕に手足を使ってガッシリと抱きついて来た。


「ママ?」

「少し寂しかった・・・」

「ごめんね」

「うん・・・」

「娘がこっちを見てる」

「うん」

「安心させるために手を振って?」


ママが少し恥ずかしそうに手を上げて手を振ると娘は両手をブンブンと手を振って応えてくれた。


「娘を本当にいい子に育ててくれてありがとう」

「うん・・・」


ママの呼吸が少し荒くて胸の鼓動が早かったので少し落ち着くまで待った。


「私・・・娘に嫉妬しちゃった・・・」

「そうだね・・・」

「私が娘からあなたの時間を取っちゃってるのに・・・」

「違うよ、娘には僕とママの両方が必要なんだよ」

「・・・そうね・・・そうだったわ・・・」

「今夜二人でいっぱい娘を可愛がって上げようよ」

「ふふ・・・そうね・・・でも私もかわいがってね」

「娘が限界になった後に二人っきりでゆっくりと可愛がってあげるよ」

「あっ」

「えっ?」


ママは僕の腰の後ろあたりにからみついている足を外して足を下ろそうとしたあと、足がうまく湖底につかなかったようで、もう一度僕に手と足でガッシリ捕まった。そのあとブルッと震えると股間あたりがモワッと暖かくなった。

僕はギュッと抱きついて居るママの背中をゆっくりと撫でて慰めた。


「ごめんなさい・・・」

「大丈夫だよ」

「恥ずかしい・・・」

「さっき娘も同じようにしちゃったんだよ」

「えっ?」

「体が冷えちゃうと急にしたくばっちゃうんだよ」

「私はあたたの言葉で背中がゾクゾクっとして急にしたくなっちゃったわ」

「そうなんだ・・・」

「胸の鼓動が早いわよ?」

「ママもだよ?」

「硬いのが当たってるわよ?」

「愛する人と一緒だからね」

「入れる?」

「さっき娘にも同じこと言われたよ」

「なんて返事したの?」

「ママが待ってるから戻ろうって言ったよ」

「そうなの・・・」

「もう水は余り怖くない?」

「あっ!・・・そうだったわ・・・」

「恥ずかしさで忘れちゃってたんだね」

「うん・・・」

「また次に来た時は水中に顔を付ける訓練からするからね」

「うん・・・」

「体が冷えちゃうし戻ろうか」

「うん」


僕とママは娘が火を焚いて待ってくれている岸辺にゆっくりと戻っていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る