第7章 巨大樹編

第25話 摘果

「こんなに愛されて私達は幸せよね・・・」

「とっても幸せ」

「それだったら嬉しいな」


僕達3人は巨大樹の家で暮らしながら約2巡の時間をかけて避妊薬の効果を確認した。確実に生理が無くなり副作用も無い事を確認したあと2人と順番に交わった。そして最近は3人で交わる事が多くなっている。生命のエレメントを使役して回復すると無限の精力が湧きだし体力も回復するのでずっと交わっていられるので2人同時に相手にしても全く問題が無かった。

ママだった女は交わる様になった頃から胸が少しづつ大きくなり母乳が出るようになった。妊娠したか副作用かと警戒をしたけれど、その後10巡経過してもママだった女のお腹が大きくなる事は無くそういう物として受け入れる事になった。

ママだった女と違い、娘だった女の胸は何故か同じ様に薬を飲み、生命のエレメントを使役そて回復して居るけれど胸が大きくはなる様子は無かった。それに不満を持っている様子だったけれど、僕は可愛い娘らしくて好きだよと言ったら喜んでくれた。

2人は胸の大きさと目つきが多少違うだけで一見すると双子の様にも見える。後ろ姿は全くそっくりで正面からでも他人では隣に並べて比較しないと判別出来ないぐらいだ。だから3人一緒に出掛ける事は出来ないけれど2人でなら夫婦としで出かける事が出来る。ママだった女と娘だった女が入れ替わっても、また同じ夫婦が来たと思ってくれるのだ。

親しい知り合いに見つかるかもしれない森林の白の集落へは出かける事を最低限にしている、その代わり山岳の赤の集落にはよく出かけた。陽気に酒を飲み、珍味を食べ、温泉に入り、絶景を堪能する事を続ける。僕が心の傷を100巡で癒したように、山岳の赤の集落はとても友好的で楽しい。ゆっくり山岳の赤の集落を全て回るには10巡はかかるし、2人とも全ての箇所を回るなら20巡はかかる。途中の険しい道を踏破しながら進むのはそれほど大変な地形なのだ。もちろん時間や空間や重力のエレメントを使って瞬間移動や飛行をすれば1巡もせずに全てを回りきれる。けれど僕達は長命な事もあって気が長い、急ぐ必要は無いしもどかしい事も愛する人と共に居るなら楽しいと感じられるのだ。

山岳の赤の集落を2人とも案内し終わったら、密林の黒や草原の緑や砂漠の茶や大河の黄に足を伸ばしても良いかなと思っている。


山岳の赤の集落にある総産業組合の口座のお金は学校基金管理組合に譲渡したつもりだったけれど、僕には何やら多くの団体から称号が与えられているらしく、その報酬として多くのお金が総産業組合の口座に毎月振り込まれ続けていた。ハッキリ言って何も働かなくても永遠に生活が困窮する事があり得ないぐらいのお金が振り込まれ続けて居る。僕が森林の白でかなり長生きだからと断ろうとしたけれど、山岳の赤の部族が維持できない状態にでもならない限りはずっと支払うと言われてしまった。

彼らは僕にそれ程の恩を感じているらしい。だから僕はもう一つ基金を作って孤児院や乳児院の整備をお願いする事にした。僕はそういった事の経営までは分からない、そういう事は学校設立基金の時の様に、お金だけ渡して総産業組合に管理して貰う方が上手くいくと思っている。

山岳の赤では落盤事故で未亡人になる女性がそれなりの数になる。そういった女性は生活の糧が無い場合は大きな街に行って娼婦になったりするのだが、無理がたたって病気になったり、避妊に失敗して父親が分からない子供が出来てしまったりする。

陽気な山岳の赤の集落ではそうやって出来た子はみんなで面倒を見ていたけれど、それでも大きな街の目の届かない場所では母親が恋しくて泣いて居る子を見かける事があった。僕は未亡人を孤児院や乳児院で働いて貰えば、孤児も少しは温かい環境で暮らせるようになるのではと思っていたのだ。


僕達は暮らすだけらな食料も資材も巨大樹の周りを採取するだけで事足りてしまっている。最近は山岳の赤の集落の果樹園で教わった摘果を実践する事で、収穫物の総量減るけれど果肉が分厚く糖度の高い巨大樹やアプやカラやモムやキアの実の採取に成功している。それらの実は酒に変えなくてもどこでも高値で買い取って貰う事が出来た。だからそういった総産業組合の口座に振り込まれるお金は無くとも、僕達は生きていく事に何も問題は無かった。

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