第24話 避妊

「お父さんってベムだったんだ」

「そうだったんだよ」

「その不思議なエレメントもベムだから覚えられたの?」

「うんそうだね・・・」

「そうかぁ・・・」


僕達はママだった女のテントを片付けたあと、それを時間と空間のエレメントを使役して作った空間に放り込んだ。そのあとでまた時間と空間のエレメントを使役して3人で巨大樹の倉庫にしている木のウロの前に瞬間移動した。

現在3人で保管していた家の材料で再建を行いながら話をしている所だ。


「でも子供が出来たらお父さんの事を優先出来なくなるのはどうにか出来ないのかな・・・」

「それには僕に考えがあるよ」

「どんな考え?」

「避妊するという考え方だよ」

「避妊って何?」

「妊娠するのを避けるって事だね」

「しないって事?」

「ううん・・・妊娠しないようにするって事だよ」

「えっ?したら出来るでしょ?」

「それが僕に考えがあるって事だね」

「そうなんだ・・・」


避妊には色々方法がある。

1つ目の方法は、受精する時期に行為をしないという方法だ。1回目の生ではオギノ式と呼ばれていた。

2つ目の方法は、男性が女性の中に精を入れないという方法があった。パイプカットという精を送り出す管を切除し、精が出ない様にする方法や、行為をするときにコンドームと言われる男性のモノに薄い袋を被せるという方法があった。他にも膣外射精という確実性な方法が一応ありはした。

3つ目の方法は、女性側が薬を飲んだり子宮内避妊具を装着して体内に精が出されても受精卵を子宮に着床させないという方法があった。

4つ目の方法は、避妊とは少し違うけれど最終手段として着床してしまった受精卵を除去する中絶という方法があった。


1つ目の方法はそもそもその方法の事を良く知らないし、知っていたとしても森林の白の生理周期に合わせるには長い検証を行わなければならないため現実的では無かった。

2つ目の方法はパイプカットする様な手術はこの世界には無いし、コンドームに出来るような強度がありつつ薄い材料というものに心あたりは無く製造は困難だった、それに膣外射精という非確実な方法は選択すべきでないと思っている。

3つ目の方法は僕が考えている方法だ。子宮内避妊具ではなく薬の方に心あたりがあったからだ。これは薬神が開発して山岳の赤の所で広まりつつある薬の事だった。

薬神はあるときある草から抽出した成分を動物に投与したら、外観上何も変化が無いけれど投与した動物の生理が無くなり妊娠しない事が起きた事に気が付いた。そして薬の投与をやめると生理が再開し妊娠する事ができた。薬神は何度か動物実験をした上で弟子達や弟子の妻たちで投薬実験を行い、全く副作用が見られず生理が止まり妊娠しない事が分かった。むしろ貧血になりにくくなったり、生理中に気分が悪くなる事が無いため体調がよくなったという良い作用が出たという投薬実験結果となった。

薬神の弟子から、現在山岳の赤に訪れる森林の白や密林の黒や草原の緑もこの薬を買い求めていると言っていた。少量づつ摂取し生理が止まったと分かったらその量を維持して飲み続けるらしい。今のところ、山岳の赤の女性が1日1錠飲むのに対し、代謝が弱い森林の白と密林の黒の女性は2日に1錠の投与でで効果があると言われて居る。また草原の緑の女性は代謝が早いけど体が小さいため半分の量を毎日で飲むのが良いらしい。

ちなみに4つ目の方法は山岳の赤で実際に行われる方法だ、けれど1回目の生でも女性の体に負担がある方法とされていたので選択するべき方法では無いとおもっている。

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