第23話 母娘

ママだった女がまた僕の女になった。

それは良いけれど娘には聞かなきゃならない事が出来てしまった。


「それで、君が僕の最初の相手というのはどういう意味なの?」

「お父さんへのアプローチのつもりだったんだけど・・・だめ?」

「同時に2人は貰えないよ・・・ねぇ?」


僕はママだった女の方を見て訪ねてみた。


「あなたに娘も貰って欲しい・・・」

「えっ!」

「この子はずっとあなたの事を慕っていたの・・・気が付いていたでしょ?」

「・・・なんとなくそうは思っては居たけど・・・」

「もう一つ指輪は無いの?」

「・・・ある・・・」


僕は空間のエレメントを使役してそこから箱を取り出して娘の前に差し出した。


「えっ!?何そのエレメント!?」

「まだ秘密だ・・・」

「この人には秘密がいっぱいあるの・・・」

「・・・わかった・・・」


娘は僕が差し出した指輪の入った箱を開けると小さい方の指輪を取り出し、ためらいもなく左手の薬指に身に着けた。


「わっ!ピッタリ!」

「記憶にある君の指のサイズに合わせたんだけど・・・娘は君が痩せる前の指のサイズと同じようだね」

「娘だもん!」

「そうだね・・・」


僕は娘だった女の持って居る箱から大きい方の指輪を取り出すと左手の薬指に身に着けた。


「これで君も僕の永遠の女になっちゃった事になるけど・・・良かったのかい?」

「うん!」


娘だった女は左手の薬指にはめた指輪を見てニヤニヤと笑っていた。


「それで・・・これからどこかに家を作る事になるんだけど・・・」

「私が産まれた家が良い!」

「そうね・・・あそこなら誰にも知られず暮らせるわね・・・」

「僕たち3人が一緒に居る事を誰かに見られたらまずいの?」

「そうね・・・森林の白の掟に反するのでどこの集落に出入り出来なくなるわね・・・」

「そうなんだ・・・」


森林の白は一夫一婦制だ。

その理由はなんとなくだけど人が増えすぎてしまう事を恐れて決められた制度だと思う。

森林の白は収穫を自然に委ねているため森の生産力以上に人が増える事を危惧していると思う。採取に出る男や子供を女が育てている最中に不幸に会うというのは珍しい事ではない。けれどあまり森林の白は集落全体で採取をするといった安全策を取る事をしない。それは森林の白の女性が3~5回出産を経験する事から誰も死ななければどんどん際限なく増えていってしまう事になる。けれど厳しい環境に置き生き残のは強い個体である可能性が高い。そうやって種族としての個の生存力を維持しつつ弱い個体を自然んと間引いていく。それが森林の白のやり方として定着したのが村の掟という奴なのではと思っている。


「それでも2人は僕とずっと一緒に居てくれる?僕が立派な木の苗床になるまで・・・」

「はい・・・」

「うん!」


僕は2人を同時に抱き寄せるとママだった女、娘だった女の順でキスをした。


「でも私が先に苗床になるわよ?」

「その時は僕が君を立派な木に育てるよ」

「私はお父さんが死んだら立派な苗床にして大きな木にするわ」

「その時は私の木の隣に寄り添う位置に・・・」

「僕が死んだらお母さんの言う通りにしてくれるかい?」

「うん!」


この日僕はママだった女と娘だった女を妻にした。

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