第11話 魔石

「やっとうまく動くようになった」

「すごいわね」

「作った僕もすごいと思う」


僕は遂にこの世界で画期的な発明を成し遂げてしまった。

きっかけは巨大樹の下に落ちていた飛び蜥蜴の骸だ。最近死んだばかりなのか新しい死体で、落下した衝撃で骨が皮膚を突き破って内臓が溢れていたのだ。そこに飛び蜥蜴の体内から出たと思われる不思議な結晶を見つけたのだ。その結晶に様々なエレメントが近づき少しづつ分解していたのだ。

僕はすぐにこれは魔力に関係したものだと理解しそれを家に持ち帰った。周囲に飛ぶエレメント達には僕の魔力を与えつつこの結晶を食べないように命令した。

僕はこの結晶を魔石と命名した、これをエレメント達には食べさせないように出来れば電池みたいなものを作れるんじゃないかと思った。

エレメント達はこの巨大樹の樹脂を好む事を知っていた。だから魔石を樹脂で覆い、その表面にエレメントを使役する際に送るイメージを刻んだ。刻んだ溝には鉛を溶かして流した。鉛は比重が重いので重力のエレメントは樹脂よりも好む性質があった。これによって重力にエレメントによる空間の歪みが発生し、その模様のイメージが全てのエレメントに通じるという道具が作れた。

現在この道具によって僕が居なくても、家の周囲を光の迷彩と空間と風の結界で覆った状態が維持されている。


「この状態でどれだけ持つかだね」

「どれぐらいになりそうなの?」

「1年と少しは持つと思う」

「毎年1個作れば良いって事かしら」

「うん」

「ママには何をしてるのか良く分から無かったわ」

「ごめんね、なんとなくやったら出来た、としか言えないんだ」

「うん、わかってる」

「頭使いすぎて疲れたから実を食べて眠りたい」

「あら、ママのオッパイはもう要らないのかしら?」

「ううん、飲むよ」

「はい」


やっぱり疲れたあとの母乳はいいな。何かこの為に頑張っていた気がしてくるのだ。けれどもう73巡目が過ぎていてママが母乳はまだ出ているけれど出は悪くなっている。それに僕の体が随分大きくなってきて、それに応じてモノも大きくなって来た。まだ勃起はしないけどそう遠くない時に起こってしまうだろう。100巡目から150巡目と聞くのでかなり早いけどこんなに毎日弄られていたら目覚めだって早くなってしまうだろう。それに巨大樹の実は栄養豊富そうで僕の成長が早まってしまったかもしれない。


「ママ、僕は大人になるのが怖い」

「どうして?」

「ママが僕を置いて遠くへ行ってしまうんじゃ無いかって思うんだ」

「そんな訳は・・・」

「ママは僕をまだ子供だと思ってる?」

「あなたは私の子供よ?」

「僕との子供が出来たら僕は子供なの?」

「それは・・・」

「僕はもうすぐ男になるよ」

「そうね・・・」

「僕はパパのようにママとママの子供を家から出す相談が出来るようになるのかな」

「ごめんなさい・・・」

「ママは悪くないよ」


外ではゴロゴロと雷鳴が鳴っていた。

この巨大樹は落雷が良く落ちる。

木は巨大なので表皮が少し焦げる程度でビクともしないけど、落雷の衝撃で飛び蜥蜴が気絶し落下する事がある。


「雷が静かになったら木の下を見に行かないと」

「うん・・・そうね・・・」

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