第12話 成人
「あっ」
「今ピクンとしたわね」
「うん」
88巡目の最も寒い時期に、散々ママにイジられ続けた僕のモノはくすぐったさだけではなく不思議な感覚を感じるようになっていた。
「もしかして近い内に成人するのかしら」
「そうかもしれない」
「私を始めての人に選んでくれる?」
「初めての人はママが良い」
「愛してる」
「僕もママを愛してる」
「どうして泣きそうな顔をしているの?」
「もうママって呼べなくなっちゃうと思って」
「子供が出来てもすぐには産まれないわよ?」
「うん」
僕とママはもし子供が出来たらどうするか話していた。ママの気持ちが赤ん坊に向かったら生まれて50巡目ぐらいになったらママと赤ん坊を森の白の近くで別れる事を。もし僕に気持ちが残るなら子供が独り立ち出来るまで一緒に暮らしてその時にその先は決めようと。
森林の白は生理の周期がだいたい1巡で、妊娠期間が10巡かかる。僕はその期間にパパとママがどういう風に過ごして居たのかを知らない。恋人の様に甘く過ごして居たのか、ただの共同生活をしていただけなのか。僕の知って居るママはパパの前では恋人の様に甘えるけど、それは演技で、パパが居ない時はパパを共同生活者としか見ていない様に見えた。
こんなにも僕を愛してくれるママの姿が演技であるとは思えない。けれどその内それが演技になって、僕をただの子供が育つまで家とご飯を提供する存在として認知するようになるのだろうか。それでも僕は既にママを女として見てしまって居る。僕のモノが反応した時に湧いた感情でそれをハッキリと認識してしまった。しばらくママに弄られてていたら今この瞬間に成人になったとでも言うように僕のモノがムクムクと大きくなった。
「大きくなったわね・・・」
「うん」
「とっても立派で素敵よ?」
「うん」
「する?」
「うん」
「愛してるわ」
「僕もママ・・・」
「成人おめでとう」
「うん・・・ありがとう」
その日から僕とママは毎晩の様に交わった。森の白には1回目の生の時の様な避妊という概念は無い。2回目の生と同じように、したくなったらして出来たら子を育てるだけだ。
ママと交わり始めてもうすぐで1巡を過ぎたあたりでママに変化の兆候が見られ創めた。
「今日ママは僕をあなたって呼んだよ」
「えっ・・・あっ!」
「無意識だったんだね」
「うん」
「まだママって呼んで良い?」
「うん」
「ありがとうママ・・・」
「ごめんなさい・・・」
「ううん・・・ママの男になれて嬉しい」
「ママもあなたの女になれて幸せよ」
「うん」
多分ママは妊娠したんだと思う。
既に生理の周期的に無いのはおかしい期間に入っているからだ。多分それを受けてママの中で何かの本能が僕をあなたと呼んだのだと思う。これから10巡の長い妊娠期間が続く。既に1度経験しているママは2人でも大丈夫だと言っている。私が全てを教えてあげると言っている。これは最初の子供をもうける男や女に、既に経験がある相手が言う言葉らしい。
この日からママは本能的に僕を男だと認知し、子供であるという事を忘れ始めた。僕はこれからママから最後の教えとして、森林の白としての男のあり方を教わるのだと思う。
「ママから教わるのが嬉しい」
「うん・・・私が何でも教えるから」
「うん」
「私が弱ったら必ずあなたの所に行くから」
「その時は一番いい場所に埋めて苗木を立派な木にするよ」
「ありがとう・・・」
ママは本能的に僕から子供に心が移り始めて居るのを感じ始めている。だからママがどこまで本気で今の言葉を言ったのかは分からない。1回目の生の時の女がしていた虚言が入ったピロートークに近いものなのかもしれない、ただもしママが最後の時に僕のもとを訪れたなら、誰にも見つからず切り倒されない様ないい場所を見つけて立派な木にしようと思う。
そしてその後は僕が死んだ時にママの木の隣に僕の木を育ててくれる相手を探しに行こうと思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます