第10話 蜥蜴

僕が産まれて50巡目を超えてもママの母乳はまだ出ている。しかし発情の疼きがとても強くなっているようだ。ママは毎晩のように僕に慰められている。僕のモノは全然大きくならないのに早く大きくなれとでもいうように手で弄ったり口に含んで刺激をしてくる。僕にとってはくすぐったいだけだけどおママにとっては真剣みたいだ。小さくて柔らかいけれどママの中に入れる事は出来る。けれそれではママは満足な達し方は出来ないみたいだ。ママの中に指どころか拳まで突っ込んで愛撫をしないと求めて来るのが止まらないからだ。


「愛してる」

「僕もだよお母さん」

「もうイジワル」

「ごめんママ」

「うん」


ママは僕がお母さんと呼ぶ事を好まない。森の暮らしを学び出した頃からお母さんと呼ぶのが普通なので集落に物資を調達に行くときはお母さんと呼んでいるのだけれど、二人の時はママと呼んでと言われている。まだ甘えて良い時間なんだと思えてホッとするけどいつかはこの関係は終わるような気がしている。


「ママ・・・オッパイ吸っていい?」

「うん」


森林の白に近親相姦という概念は無い。女は死ぬまでに間を開けて平均で3〜5回程度出産を行う。その間に親子や親子で夫婦になる事も度々あった。数百巡目ぶりに合ったりするのだ。変化が少ないと言っても多少は変わるし記憶も薄れる。血の繋がりがあろうと、既に他人の様な関係で後で実は親子や兄妹でしたなんて事も普通にある。


僕がママのオッパイを吸っているとママは僕の頭を撫でて子守唄を歌う。本当にあの頃に戻ったかのようだ。


「ママ、あの頃に戻りたい?」

「いいえ戻りたいとは思わないわよ?」


最近僕たちは森林の白の部族が点在している場所から大きく離れた場所をメインの活動拠点にしている。もし僕がベムだと知られれば襲われるかもしれない。だから空を飛び回る巨大な飛び蜥蜴が居て他の森の白が近づいて来ない森の奥地の巨大樹の近くに活動場所を移そうしている。

周囲から一線を画すとても大きな巨大樹の上に本格的な家を作ろうと最後の物資調達を今日行った。枝が太くて立派なので前の家よりもずっと大きな家を作る事が出来るだろう。


空を飛ぶ蜥蜴は巨大樹に住む周囲の食物連鎖の頂点に居る生き物だ。

1回目の生で空想上の生き物とされていたドラゴンや龍の様な感じではなく、腕と足の間に皮膜がありそれに風魔法を纏わせて巨大樹の周りを滑空している。巨大樹の周りは大きな影のせいで他の植物が生えない。しかし巨大樹のとても大きくて甘い実がいくつか落ちている。その実は落ちると周囲にとても甘い匂いをまき散らす。それに釣らて様々な生き物がやってくる。他にも樹上の木に成っている実を狙って登って来たり読んで来る生き物も居る。それを飛び蜥蜴が食料にし生活をしているのだ。

姿は1回目の生で空想上の生き物とされたドラゴンには似ていない。普段は木の枝にぶら下がっている事もあるのでコウモリのようでもあるし、見た目はプテラノドンに近い姿かなと思うけど。

周辺の食物連鎖の頂点だろうと風魔法が使えようと僕の風や空間の結界を破れはしなかった。だから問題なく巨大樹の上に家を構える事ができた。巨大樹の実は色々な生き物が狙うようにものすごく美味しいものだった。それを食べたら他の実が価値のないものと思ってしまうぐらいに。それに地面に落ちた時に香りが広がると共に発酵が起こっていてアルコールが生成されている。巨大樹の家でもでも土や火のエレメントを使役して作ったガラス質の瓶に細かくした実を入れて巨大樹のウロの部屋に放置して2巡ほどすると美味しいお酒に変わっていた。空を飛ぶトカゲさえ回避出来るのならないのならここは最高の生活拠点だったのだ。

ちなみに風魔法は森の白が使う風のエレメントを使役している力ではなく風魔法という自らの体内の魔力を直接力に変える技術ふぁ。魔力効率は悪いけれど、エレメントを見たり意思を伝える力を持たなくても使う事が出来るので様々な生き物が使う事が出来る。


「今巡目のお酒も美味しくなりそうね」

「余り飲みすぎないでよ」

「うふふ」

「足を滑らせて落ちても知らないよ」

「あの強いお酒じゃないから大丈夫」

「もう」


あの強いお酒とは蒸留酒の事だ。試しに火と水と重力のエレメントを使役して作ってツボに入れて置いて居たのだが、ママが普通のお酒と同じように飲んでしまい一気に酔いが回って、陽気に踊り出し、足元を滑らせて未完成だったために残っていた家の隙間から落ちてしまった。

僕が重力のエレメントを使役して守らなければ地面に叩きつけられるか、滑空している空を飛ぶトカゲに捕まり食べられて死んでいた。

だから今はママが間違えて飲まないよう蒸留酒は木のウロの1番奥に封印しているのだ。

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