第4話 転生

(・・・という記憶があるんですが)


「君すごいね」


(それはここでの出来事であってるんですよね?)


「うん間違いなく」


(僕は無垢になって消えたんじゃないのですか?)


「無垢になる前に消えたんだろうね」


(そんな事ってあるんですか?)


「あるね」


(そうなんですか?)


「最初の生で前世の記憶を持って産まれた子の話とか聞いた事無い?」


(噂では聞いた事があります)


「つまりそういう事さ」


(なるほど)


「そういう意思はまた無垢になれないから別の世界に行って貰うよ」


(えっ?)


「僕の世界では無垢な魂が巡ることで安定している世界だからね」


(僕に選択権はありませんか?)


「無いね」


(そうですか・・・)


「まぁ少し特典を付けるよ」


(特典?)


「行きたい世界を選ばせてあげる」


(行きたい世界・・・)


「選んだ世界で暮らさせてあげる」


(そこに転生するって事ですか?)


「そうだよ?だけど祝福はかけさせて貰うけど」


(祝福ですか?)


「ここの事や別の世界から来たという事を周囲に伝えなくなる代わりに良いことがある祝福だよ」


(良い事ですか?)


「体が丈夫だったり能力が高く産まれたりだね」


(それは良い祝福ですね)


「でしょ?」


(でも何で伝えられると不味いんですか?)


「それは僕たちと同じ側に立たないと理解出来ないことだけど、その世界はそうやって安定している世界だと思ったら良いと思うよ、たまに記憶を引き継ぐ生き物が産まれたりするけど前の出来事は誰にも伝える事が出来ないという祝福がある生き物が産まれる世界なんだって」


(なるほど)


「まぁ記憶を引き継ぐ生き物はその世界でもそんなに多く無いから気にしなくて良いよ」


(そうなんですか?)


「珍しくはあるからね前世の記憶を引き継げる生き物は、それに既に1度目の生の君の欠片はいくつも来ているけど、引き継いだのは今のところ君だけのようだ」


(なるほど)


「じゃあいくつかの世界を見せるから、その中からえらんでよ」


(わかりました)


「急がなくてもいいよ、時間はたっぷりあるし、選べる世界もいっぱいあるから」


◆◆◆


(この世界にします)


「この世界ね、結構人気が高い世界、良く選ばれるよ」


(えっ?)


「珍しくはあるけれどたまにははある事だよ?僕がどれだけの世界を管理してどれぐらい長く存在していると思ってるの?」


(わからないです)


「定命の生き物では生きている間に数えきれない数で数えられない時間・・・っていったら分かるんじゃないかな?」


(ビッグバンより前って事ですか?)


「それって君の1つ前に居た星の生き物が提唱した概念だね」


(違うんですか?)


「それは教えないよ」


(そうですか・・・)


「あら?結構食いつく人は食いつくんだけどね」


(無駄だって知っていますから)


「そうだったね君は穏やかに受け入れる生き物だった」


(それだから無垢になる前に消えちゃったんじゃないんですか?)


「その通りだろうね、記憶を引き継ぐ生き物はその傾向にあるよ」


(何故引き継ぐのかは分からないんですか?)


「神と言っても分からない部分だね」


(なるほど・・・)


「じゃあ送るけどいいかい?」


(お願いします)


「次に死んでそこの神に会ったら宜しくね」


(わかりました)


「じゃあ今の君とは永遠にさようならだ」


(ありがとうございました)


「良い来世をね」

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