第4話 変な子

「さぁ、願い事はなんじゃ‼︎」


 「……は?」


 勢いよく立ち上がったと思えば予想だにしなかった台詞が飛んできて頭が真っ白になる。同時に頭をぶつけてしまったことが原因なのかと思考がよぎり顔が青くなる。


 「……えっと、」


 「さぁ、願い事はなん……」


 「頭大丈夫? ぶつけて何処か悪くなっているんじゃ、自分の名前わかる? お家は⁇」


 「頭大丈夫⁈ って人間如きが誰に向かって言っているのじゃ! わらわはこの世界の……」


 不安で女の子の頭に手を触れる


「ナ、ナ、ナ、なに勝手に妾に触れておるのじゃ⁈ 妾はこの世界の神様なんじゃぞ‼︎」


 顔を赤くして俺の手を勢いよく振り払う


 「……終わった。」


 頭をぶつけた衝撃でスピリチュアル的な悪い奴が彼女に憑依してしまったのか。頭を怪我させてしまったならまだしも自分の事を神だと言ってしまう変な子にさせてしまっては、その子の両親にどう説明をすれば……


 「……なんじゃ? そんなに思い詰めた顔をして腹でも壊したのか?」


 「神様って言ったな、どんな願いも叶えてくれるんだよな?」


 「そうじゃ! 妾がなんでもお主の願いを叶えてやるからドーンと任せるのじゃ!」


 「……ください」


 「……? 聴こえんのじゃ、もっとハキハキ言うのじゃ!」


 「普通の女の子に戻ってくださぁぁあい‼︎」


 心の底から願った。二十歳を迎えた大学生が恥ずかしげもなく腹の底から大声を出し本気で願った。


 「……」


 「何言っているのじゃ」


 叶わなかった


 「あぁ……やっぱり神様なんていないじゃないか、この子は元から変な子で俺はその子にまんまと乗せられて大声で願ってしまったのか……。よく考えてみたらそうだ、神様なんて願いを叶えてくれる存在というよりかは……」


 「なにゴチャゴチャ言ってるのじゃ。というかなんじゃ‼︎ さっきのふざけた願いは‼︎ 妾は神じゃぞ! すごいのじゃ‼︎お主が思っているような変な子ではないのじゃ‼︎」


 「あーはいはい」


 「ッンーー‼︎ 妾を侮辱するか! そんなに信じられないというのなら妾の力を見せてやろう! さぁ、今度こそお主の願いはなんじゃ‼︎」


 彼女は顔を真っ赤にし、怒りでプルプル震えながら説いてきた


 「あ~、じゃぁ……」

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