第2話 日常

 「よっ! ハルト、おはよ~」


 教室につき後ろから声を掛けてきたのは中学からの友人である一神陸いちかみりくだ。


 「お前、今日も服がシワだらけだし寝癖もついてるぞ? ほれ髪を梳かしてやるからじっとしてろ」


 そう言うとポケットから櫛を取り出し、髪を梳かしてくる。この行動から分かるように彼はとても面倒見が良くとても優しい。そんな彼に彼女が居ないわけがなく高校生の頃から付き合っている彼女がいる。俺が彼女より手が掛かるせいか、学校では彼女より俺に構っている時間の方が長くて嫉妬されていた。


 「いい加減、ちゃんと生活力を上げた方が良いんじゃないか? 一人暮らし始めたての頃はあんなに張り切ってじゃないか」


 「ほんとにな、たまにやる気になるんだけど長くは続かないんだよね。」


 「お前は昔からそうだよな。こうして学校にきてるし根は真面目なのにモチベーションの振れ幅が広くて、やっとやる気になったと思ったら1日2日で戻る」


 「そして3週間ぐらいダラける」


 「もっと長いだろ……。どうせ部屋も散らかってんだろ、今度掃除しに行ってやるよ」


 「いやいいよ、そこまでして貰ったらお前の彼女さんにどつかれちゃうよ」


 「ハハハッ神奈かなはそんな事しないよ。それなら、ちゃんと自分で掃除するかメイドさんを雇うんだな。」


 そう笑いながら髪を梳かし終え、ちょうど講義が始まる時間になった。


 講義が終わり午後からの講義がない俺は陸と別れ家へ帰る。帰り道、普段なら気にならないすれ違う人々にも家庭があり自立心がありしっかり生活しているんだなどと考えため息を吐く。


 ドアを開け、部屋に入ると視界には散らかった様々なゴミが占領している。


 「あぁ……誰か俺のやる気を上げてくれないかな。」


 足場の無い床を進んでいきベッドへ横たわる……


 『ピンポーン』

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