第104話
「ふああああっ……」
布団の中で目覚める。
早瀬家の一室。
日曜日の朝だった。今朝は、
校内スポーツ大会のために、クラスで自主練習をやるらしい。
俺も学校では、特別なものをのぞき、ほとんど普通科の教室で授業を受けているのだが、一応、まがりなりにもダンジョン科の生徒として扱われる。そのため、普通科の校内スポーツ大会は関係なかった。
ん? 布団の中になにかいる……。
かけ布団をまくりあげる。
小さな頭が見えた。
小学2年生の
少し見ていると……、
「うーん……。兄ィ……。おはよー」
布団がまくられ、差し込んだ光に気づいたのか、小学2年生の
「おう。おはよう」
「兄ィ。ふたりだけの初めての朝だね!」
「そ、そうだな……」
そんなセリフ、どこで覚えた?
さて、起きるかー。
一人だと、布団の中でダラダラとゲームをやっていたりするのだが……。今日は、早瀬家のメンツは、それぞれに用事があって、
さすがに、
「起きるぞ!」
「兄ィー、おはようのチューしてー」
だから、そういうのどこで覚えるんだよ。
とりあえず、おでこにチュッとする。
「ふふふ」
「兄ィー、今日ブリギュアの映画見に行くのー?」
「おう。
「兄ィとの、あつあつデートだね」
「そうだな。あつあつデートだな」
「わあーい」
「よし、
「うん」
「よーし。偉いぞ」
なでり、なでり……。頭をなでる。
「わあーい」
「目覚めてから、朝は、いつもなにするんだ?」
「えーと……。パジャマを脱いで、服を着替える」
「着替える服はどこにある?」
「
「よーし。着替えてこい」
「はぁーい!」
階段を駆けあがる音を聞きながら、スマホで映画の上映時間を確認する。
当然だが、朝一の上映時間には、どうあっても行くことができない。日曜の朝はテレビ版のブリギュアを見ると決まっているからである。
ほとんど時間をおかず、階段を駆け下りてくる音。あれ? 着替えたにしては、戻って来るのが早すぎる。
廊下をトコトコと走りよってくる音がして、すぐに
パジャマ姿のままだった。
「どうした? なぜ着替えない?」
「ここで着替えるのー」
見れば、手に着替える服をもっていた。
なぜ、わざわざ俺の見ている前で着替えるのか?
疑問に思っている間にも、
ほっそりとした白いカラダがあらわになる。
上下、純白の下着すがた。小学2年生だから、まだブラジャーはつけてない。
「兄ィー」
「んー?」
「どう? セクシー?」
下着姿のまま、
だから、そういうのどこで覚える?
俺は、
でも、小さなレディーに『セクシーじゃない』と、面と向かって言うのも失礼だと思う。
「とってもセクシーだぞ」
とりあえず、話だけはあわせておく。
「わあーい!」
あと数年たったら、
ほどなく着替えが終わる。
小学生らしいピンクの上着に白いプリーツのミニ・スカート。
うん。とっても、かわいい。
「兄ィー」
「なんだ?」
「兄ィ、パンチラ好きなのー?」
それ、誰に聞いた?
「……まあ、相手にもよるかな」
「
いやあ……、そういうの返事に困るんだけど。でも、
「うーん。ちょっと、見たいかも……」
「じゃあ、見せてあげる。はーい」
スカートの下に隠れていた白いものが、ちらちらと見えた。
おっ……。これは……! 思ったよりもいいかも……
って、ダメだろ俺。俺は断じて
「兄ィは、見たいときにいつでも
「お、おう……」
「兄ィなら、いつでも
「あ……、ありがとう」
他に、どう答えればいいんだよ? 答え方に困る。
「どういたしましてー」
シュールな受け答えがすんでから俺が注意する。
「他の男に、そういうの簡単に見せたらだめだぞ」
「もちろんだよー。兄ィだけ、特別だよー」
「それなら、よし」
なにが、よしなのかわからないが、とりあえず言っておいた。
「兄ィーは、着替えないのー?」
「うん。俺はこれがパジャマ兼部屋着だから」
着ているいつものペラペラジャージの
ふたりで鏡の前で一緒に歯を磨いていると、
そういえば、
俺が同じようにしてやるのがいいのか? いや、俺、ドライヤーなんか使ったことないぞ。下手に
ひょっとして、髪をなおすだけでなく、他にもやるべきモーニングルーティンみたいなのってあったりするのか? 女は、いろいろ、そういうの面倒くさそうだし。男だから、女子のことは全然わからない。困ったぞ……。
『ピンポーン』
不意に、インターホンが鳴った。誰か来た?
台所のインターホンのモニターの前まで来ると、ギャル女子高生である
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