第84話



 結局、朝風エリカは祖父母の家に引き取られることになった。高校は変わらずにすむようだ。


 今回少し暴れはしたが、B市の地下第五階層には、まだ、大宮司商事の電脳演算都市要塞『バベル』が存在している。ちかいうちに、あの厄介やっかいな地下都市をなんとかする必要がでてくるかもしれない……



  ☆☆☆



 その日、俺は自宅のリビングで、ソファに寝そべりながら携帯ゲーム機でゲームをしていた。


 玄関が開いて足音がした。花凛だ。


「あー、また、ちらかしてー」

 部屋に入ってきた花凛は、ちらかっていた部屋をてきぱきと片付けてしまった。手際がすばらしい。


 花凛とは家族同然の付き合いだ。お互いの家にも自由に出入りする関係でもあるし、合鍵も持ってる。俺は、ゲーム以外のことについては、かなりずぼらな性格だ。俺に代わって、花凛が定期的に我が家の掃除もしてくれている。両親が海外で事業していて長期間留守中の俺とっては、花凛さまさまである。


 しばらくゲームしていると、突然、のどの乾きを覚えた。

 でも、もう一ステージ、クリアしてからにするか。俺はゲーム機のジョイコンを操作しつづける。


 少しすると花凛がミネラルウォーターのはいったコップをもって立っていた。


のどかわいたんでしょ」

 なにも言ってないのに、勝手に表情だけで俺のこころを読むのはやめてほしい。

 小さな頃から、なぜか花凛には、俺の考えていることが伝わってしまうことがあった。


「ありがとう」

 とりあえず、携帯ゲーム機をかたわらにおいて、冷たい水を飲みほす。


 うーん……。喉がかわいていただけあって、最高の1杯だ。


 あらためて花凛を見る。元から色素が薄く茶色がかった地毛のボブカット。メガネをかけた目鼻立ちは、すばらしい美少女っぷりだ。オッパイはまた成長したかな? 今日は、いつになく、とっても大きい気がする。今は膝丈ひざたけの明るいチェック柄のプリーツスカートだった。


「そういや、花凛のレベルも、もっと上げとかないとな」

 『バベル』に行ってわかったのは、かなりの強敵が、すでに人類に接触しているということだ。

 今の花凛でも、一般人よりははるかに強いはずだが、強力な敵と遭遇すれば、まだまだ油断できない。

 それに、俺が花凛にしてやれることって、パワーレベリングをのぞけば、あんまり思いつかない。花凛はいつもよくやってくれてるからな。


「えーっ。またダンジョンいくのー?」


「もちろんだ」


「直くんのレベリング厳しいんだよ。もうちょっとだけ、やさしくならない?」


「バカモノ。レベリングに妥協はない。全身全霊をつくしてレベリングするのだ!」


「どうして、普段は、だらしないのに、ゲームとかそういうところだけは、超すごく真剣なのよ?!」


「当然だ。ゲームこそすべてだ!」


「そんなこと、自信満々に言い切られても……」


「特に花凛はまだまだ弱いから、パワーレベリングで、もっと強くならないと」


「ふん。わたしだって、もうかなり強いんだからねっ!」


「ふ……」

 ムキになった花凛を、俺が鼻で笑う。「まだまだ、全然だろ」


「そんなことないよ。エリカちゃんにプロレス技だって教えてもらってるし」


 そういや朝風エリカって、女なのにプロレスが好きらしいな。花凛情報だけど。


なおくんだって、わたしのプロレス技をかけられたら、痛がって泣いちゃうんだから!」


「ないない。花凛なんかの技が、俺に効くはずないだろ。あははは……」


「んもう……。馬鹿にしてぇ! 見てなさい!」


「おっ?!」

 花凛がソファーに座っている俺の脚をとった。そのままソファーから、床の絨毯じゅうたんの上へと俺の身体がずり落ちた。今の俺の体重は65kgくらいだから、それをソファーから引き落とすとは、女の子にしてはかなりの力もちではある。ダンジョンでのパワーレベリングの効果がでているようだ。


 床の絨毯じゅうたんの上に仰向けになった俺の右足首を花凛が左手でつかんだ。俺の股間に左脚を入れてくる。そのまま、右足をもったまま、俺の右足の回りをくるっと回った。

 スカートの中がちらっと見えた。

 そのまま花凛も床に仰向けに倒れ込んだ。俺の右足首に花凛の右足がかかる。ちらちらと、スカートの奥が何度も見えた。今日も白だ。うん、とってもよろしい。


 気づくと、花凛の足4の字固めが完璧に決まっていた。


「どうだっ?! なおくん、超痛いでしょー?!」


「うーん……、気持ちいい」


「ふんだ。強がっていられるのも今のうちだけなんだから!」

 花凛が、足4の字固めがかかった脚に力を入れるのがわかった。

 花凛の白い生太ももが密着して、さらに気持ちよくなった。


「ふわああっ」

 おもわず、俺の口から歓喜の吐息といきがもれた。


 俺がちっとも痛がってない……、というか喜んでるのを見て、花凛が足4の字固めを解いた。どうやら、違う技をかけようとしているようだ。


 なにかな? なにかな? ちょっと楽しみ。


 花凛が両手で俺の右手首をつかんだ。


「んーっ! んーっ!」

 床に仰向けに寝転んだままの俺の右手を、一生懸命、引っぱっている


「…………」


「んーっ!」


「…………」


「んーーーーーっ!」

 しばらく黙って見ていたが、まだ俺の右手を引っ張っていた。


「なにがしたいんだ?」


なおくんの上半身を起こそうとしてるの。これ、上半身をおこさないと技が決まらないから」


 素人にありがちなことだが、自由に技が決められないようだ。


「やれやれ、しかたないなあ……」

 俺が上半身をおこす。


「ふふふ、その油断が命取りになるんだからねっ!」


 花凛は、俺の右手首を両手で握ったまま仰向けに寝転がると、俺の首を挟み込むように、両側から足をまわしてきた。


 わー! 超近距離から、花凛のスカートの中が見放題だ。

 まぶしい純白が俺の目にやきついた。


 花凛はそのまま、俺の首に両足を巻きつけて、締めつけてくる。


 ブラジリアン柔術や総合格闘技などでもよく使われる三角絞めというやつだ。まくれたスカートから伸びた、花凛の白い生太もものやわらかい内側部分が、俺の首にぎゅうぎゅう押しつけられる。とられた右腕の前腕部ぜんわんぶは、花凛の豊満なオッパイに密着していた。


「ふふん……。どうだっ? なおくん、苦しいなら敗北をみとめて降参してもいいんだよっ!」


 なにこれ。超気持ちいいんだけど……。

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