第78話

 ヤクザをぶちのめして、組事務所の奥へと、さらにすすむ。


 カギがかかった扉を力ずくで破壊した。次の部屋に入ると、小柄で華奢きゃしゃな、メガネをかけた少年がいた。


 見た目の年齢は高校生の俺とかわらないくらい。

 そこそこ広い部屋で、少年のまわりには、ゴブリン、コボルト、オークのような、初心者が狩るような雑魚モンスターが、50匹くらいいた。


「おまえたち、そいつを倒せ!」

 少年が俺達を指して、魔物たちに命令した。


 50匹くらいの魔物たちが、俺たちのほうに、いっせいに迫ってくる。


「翔子2さん、ピピさん、こらしめてやりなさい」

 俺が言った。


「はーい!」「ピピーッ!」


「てめえら人間じゃねえです、たたっ斬ってやるですぅー!」

 不定形生物の身体をもつ翔子2が、両手から黒い剣を伸ばした。二刀流で、魔物を切り刻んでいく。


「セイバイ! ピーッ!」

 ピピも雷撃系の魔法で戦っている。


「翔子2! 蹴散らせ! SAN値を削れ!」


「わかりました、ご主事さま。スキル『狂気の恐怖』Lv.4!」


 分裂してない状態のときは、『狂気の恐怖』Lv.7だったが、2つに分裂したミニ翔子だとLv.4になるのか。


 ま、雑魚の魔物相手だとLv.7でも、Lv.4でも、効果は変わらないけどな。


 魔物のSAN値が削られて、発狂したり、気絶したりする。あっという間に、50匹ほどの魔物の戦闘力が奪われていた。


 小柄なメガネ少年は、まだ立っている。魔物や白スーツの中年より、レベルが高いのだろう。


「ふん」

 メガネ少年は、鼻をならした。「こんな魔物を倒した程度でいい気にならないでほしいね」


「魔物が倒されたわりには、自信満々だな」


「当然だ。僕の加護は【魔物ガチャ】だからね。ガチャで、仲間となる強力な魔物がだせるんだ」


「ほう……」

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