第76話
俺は、エレベーターの扉の前にいた。
『そのエレベーターに乗れば、朝風エリカのいる第4ホールまで直通』
と、
「リニアモーターで動く自走式3次元エレベーターのようですね、ご主人さま」
翔子2が言う。
普通のエレベーターは上下するだけだが、こいつは上下はもちろん、横にも奥にも動くことができる次世代型エレベーターのようだ。
さすがに、他の扉のように破壊してすすむと、面倒なことになりそうだ。
エレベーターを呼ぶボタンはなく、IDカードをかざす場所だけがある。
「
「マホウカギが、カカッテル。ピピ……」
俺の肩にとまっているピピが言った。
「魔法鍵か……」
呪われた鎧など、一度着ると脱げなくなる装備がある。その呪いを応用したのが
『解析してみる。ピピちゃん、魔法鍵のデータをスキャンして』
と、
「リョウカイ、ピピ……。スキャンチュウ。スキャンチュウ……」
『データ、転送……
魔術式解析開始……
解析中…………
解析中……
解析中……
……
……
…………だめ』
「どうした?」
『演算パワーが足りない』
「この『バベル』にあるのは、超々スパコンじゃないのか? 電脳演算都市って名前が泣いてるぞ」
『潜在的な演算パワーはある』
「じゃあ、なにが無いんだ?」
『電力が足りない』
「電力?」
『並のスパコンでも高性能なのは膨大な電力を消費する。『バベル』に供給されている電力では、超々スパコンの本来の能力を出すにはほどとおい……。今後、『バベル』専用の原子力発電所が何十基も建造される予定。まだできてない』
「電力か……」
『ただ、『バベル』には、魔石発電システムが備えられている。それなら十分な電力を供給できる。でも、西ノ宮総一朗本人の許可がないかぎり稼働できない規則になってる』
魔石商売は、今、めちゃくちゃ儲かるビジネスだ。大宮司商事も、それで大儲けしている。CO2をださず、原子力発電のように放射能の心配もない。理想的なクリーン・エネルギーなのだ。
「
『了解、
魔石発電システム、補助動力起動……
魔石投入……
魔石発電開始
……スポット価格10億円分の魔石を消費
20億
30億
……
50億円分を消費
……
ID作成。第一鍵解析中……。終了。第二鍵解析……。終了。第三鍵解除……。終了。IDと全鍵照合。魔法鍵、全解除!』
3次元エレベーターの扉が開いた。
「いいぞ、
『……魔石発電システム停止。魔石発電のため、スポット価格で120億5千万円分の魔石を消費した』
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