第30話
【三人称 視点】
「てめぇ! ぜったい許さねえ!」
バイクが、急発進して、直也の方に突っこんでいく。
……信じられないことが起こった。
直也が、
しかし、直也の片手で受け止められたバイクは、ガッチリと万力で固定されたように動かない。
バイクの後輪がから回りして、けたたましい
「クソがっ! どうなってやがるんだぁーっ!」
「おまえの加護は、ゲームだったはず。それも、『糞ゲー』の加護だ! なのに、どうしてこんな力がでるんだっ……!」
「俺の加護は『糞ゲー』じゃない」
直也がニヤリと笑う。
「だったら、なんだって言うんだ?!」
「俺の加護は『超糞ゲー』だ。ゲームバランスがめちゃくちゃのな……。だから、やりようによっては、ゲームバランスをこわしてしまうような、現実ではありえない力を、ゲーム内で発揮できることもある……」
「ゲーム内の話なんかしてねえ。ここは現実世界だぞおっ!」
「やーん。神崎、バイクが突っ込んでくるよぉー。こわーいよぅ。神崎ぃいいー、たすけてえぇ」
織田
直也が、バイクを手でガッチリと受け止めていることを目の当たりにして、
そのことが、
「チクショーッ!」
直也があきれたように、ため息をついた。
「おまえなあ……。まがりなりにも、俺といっしょに女がいるんだぞ。そのまま進んだら、女も一緒に
「そんなの関係ねえ!」
直也が、つき合ってられないというふうに、やれやれと肩を落とす。
いきり立った
バイクのバランスがくずれた。
バイクが、別の方向に向かって進み、盛大に回転して、倒れた。
「ぎゃあああっ!」
「ううっ……」
地面に倒れた
すると……、
「ぎゃあっ!」
見れば、そこに菊池が立っていた。
「バイクで倒れるにしても、
菊池は、地面に倒れた
「うっ……。菊池くん、でもよぉ……」
「うるさい。おまえは、『ドラゴン菊池連合』の実行部隊2番隊長なんだぞ。実行部隊の隊長ともあろうものが、よりにもよって、学校の衆目のまえで醜態をさらしやがって……。とんだ、恥さらしだ。俺の顔に泥をぬってくれたな」
「ギャァ! ギャア! ギャアアァァ……!」
菊池が、踏みつけていた
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