第29話
「うっせえな、コラ!」
いきり立ったモヒカンが、俺に
「…………」
「テメェは、すぐには殺さねえ。おまえは、じわじわ追い詰められて、恐怖に震えながら最後に死ぬんだ!」
「どう追い詰めてくれるんだ?」
俺が、馬鹿にするように笑う。
「調子のってんじゃねえぞ!」
モヒカンが
「あら、どうしたの?」
いきり立ったモヒカンと俺の間に、割って入ってきたのは、髪を甘栗色に染めた、ゆるふわロングの織田
織田
「そ、それが……、こいつが俺達の組織に
モヒカンは、顔を真っ赤にして、モジモジしはじめる。明らかに、
「あーら、でも、あたしは強い人が好きなんだけど……」
「俺は、めちゃくちゃ強いぞ。昨日、他校のヤンキーを3人も、ボコボコにしたんだ!」
「そんな、雑魚のヤンキーなんて、何人倒しても同じよ。あたしが好きになるような男は、神崎を倒せるくらいでないとね」
「おいおい、けしかけんなよ」
俺が肩をすくめる。
「いいじゃない。神崎だったら、こんな男、簡単にノックアウトできるでしょ」
「神崎なんて、どうってことはねえ。おい、神崎、今日、ここで、俺がおまえを、ぶっ
モヒカンが声をあげると、横から、巨体の男が前にでてきた。
相撲部の岸川だった。岸川は身長約190cm、体重140kg以上ある。
ちなみに、身長190cmの適正体重は、80kgくらいだ。
はっきり言うと、巨体のデブだ。
「『ドラゴン菊池連合』の実行部隊2番隊長の
上から、俺の身体を
俺は、その両手を、自らの両手で真っ向から受け止めた。
ちょうど、『手四つ』のカタチになる。プロレスラーが試合でよくやる、両手の手と手の指を相手と
「テメェ、力くらべで俺に勝てると思ってんのか?」
「おまえ、そんな立派な身体に生んでもらったのに、どうして菊池の子分なんていうチンピラに落ちぶれたんだ? 親が泣いてるぞ」
「うるせえ。俺は、菊池さんの下で成り上がるんだ!」
岸川がこれみよがしに巨体の両手に力を入れてきた。
だが、俺は『レベル20まで、経験値100倍』の無料DLCによるボーナスを持っている。今では、レベルがあがって、パワーも圧倒的に向上していた。
俺が少し両手に力を入れると、岸川の顔つきが一瞬で変わる。
「なんだ、この力は……? おかしい……」
さらに俺が力を込める。岸川の顔が、青ざめていく。
「どういうことだ……、俺が力勝負で勝てないだとっ?!」
俺は、手と指の力を、いっそう増していく。
「ぐがががっ」
岸川の顔が
バキッ!
俺の両手の中で、骨が砕ける音がした。
「ぎゃああああっ!」
悲鳴をあげた、岸川の指が、ありえない方向に曲がっていた。
岸川は地面に這いつくばって、苦痛に
「やーん、神崎ィー、カッコイイ! 超つよーぃ! 超せくしーぃ!」
「おい、離れろビッチ!」
「やーん、あたしはビッチじゃないわよぉー。これでも、一途なんだからぁー」
「おい、いやらしく腰をふるなっ! しかも、それを押し付けてくんなぁーっ!」
「あたし、処女だからぁー。女の子の一番大切なものは、本当に好きな人にあげたいと思ってるのよぅ! 神崎にあげるぅー! スキスキ大好き超愛してるぅー!」
「うるせーっ! いいから離れろ」
「いやーん、もう我慢できないーっ! 神崎本人が、ベッドの上で確かめてぇーっ! ちゃんと、初めての血がでると思うからぁー!」
まったく、とんだ
俺にまといつく
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