第13話

 まあ、考えてもわからないものは仕方ない……


 日曜日の今日も、朝からダンジョンでレベル上げすることにする。


 出かける前に、有料DLCをさらに追加で購入した。幸い、昨日のドロップ品を換金した32000円の軍資金がある。


 買ったものは次のとおり。


・【初心者用軽量プレートアーマー・セット】

これには、

・軽量プレートアーマー 上

・軽量プレートアーマー 下

・軽量プレートアーマー ブーツ

・軽量プレートアーマー グローブ

が入っている。

 これ以外にも重量級フルプレート・セットがあるが、盾役タンク向けの装備だ。軽量プレートアーマーは、フルプレートよりはさすがに防御力は落ちるが、スピード重視の物理アタッカー向けのものとなる。



・【初心者用お得パック】

これには、

・HP+20のポーション

・MP+20のポーション

・力(STR)+5のポーション

・生命力(VIT)+5のポーション

・知力(INT)+5のポーション

・器用さ(DEX)+5のポーション

・敏捷性(AGI)+5のポーション

・運(LUK)+5のポーション

が入っている。

 これは一度しか買えないので1セットだけ購入。まあ、数値の上昇は少なくて地味だが、それでも初心者には結構大きかったりする。


・【初心者用アクセサリーセット】

・魔法抵抗力+5の指輪✕2

・魔力+10のネックレス


・【アイテムボックス枠拡張】

・これは、ひとつ買うごとに持てるアイテム枠が5増える。かなり高額な価格設定の割には5枠しか増えないので、ひどく鬼畜な有料DLCだ。ドロップ品が大量に出ると思われるので、4段階ほど増やしておいた。そのうち、アイテムボックス重量制限の拡張もしなければならないだろう。


 これだけ買ったら、昨日稼いだ32000円が全てなくなっていた。

 でも、まだまだ『ファースト・ファイナル』には、大量の有料DLCがあるのだ。

 どんだけ、あこぎなDLC商法してんだよ。


 サービス提供終了が近いと思われた最近では、ガチャまで実装されてたしな。高校生の財布事情では、かなりつらいものがあった。



 最近の有料DLCには、末期ゲームにありがちな、ゲーム自体をぶっこわすアイテムなどが、つぎつぎに大量に実装されていた。その中には破滅的に強力なチート装備が、いくつもある。だがそういうのは、さすがにレベル60以上にならないと装備できない。


 他には、ネタ装備が大量にあった。

 特に美少女アバター向けの装備がやたらに多い。装備するとツインテールになるリボン、メイド服、ナース服、猫耳カチューシャ……、あげればきりがない。

 力入れるとこ間違ってるだろ。


  ☆☆☆


 有料DLCのアイテムと、俺のプレーヤースキルで、どんどんダンジョンの階層を降りていく。


 ずっと戦いに夢中になっていたが、気づくと、俺は、すでにダンジョンの第7層にいた。それも、階層ボスの部屋の前だ。



 ほとんどの階層ボス部屋の前では、休憩したり、ボス戦にむけて適切な装備を整えたりできる安全地帯がある。一旦いったん、地面にある手頃な岩に座って息をついた。


 スマホを取り出して時刻を確認する。


「えーっ、もう午後6時ーっ?!」


 ダンジョン攻略に夢中になっていたので、時間の経過を感じていなかった。体感では、やっと昼飯を食べる時間くらいってつもりだったのだ。


 そういえば、腹が減っていた。ダンジョンにもぐる前に、コンビニで買った菓子パンとコーヒー牛乳を口にした。


 地下第7層ともなると、俺以外、人を見ない。


 今朝見たニュースによると、日本各地に、全部で52のダンジョンが確認されているという。話によると、ダンジョンの難易度もさまざまのようだ。

 俺の家から電車とバスを乗り継いで1時間とかからずに行ける、初心者向けのダンジョンがあってよかった。初心者向けのダンジョンが遠くにあったら、高校生の小遣い程度では、遠征費用を捻出ねんしゅつすることができず、最初から詰んでただろう。


 そのときだった。


 俺がやってきた方から、ふと人の気配を感じた。さすがに、第7階層を攻略してるのは、俺一人じゃなかったか……。遠くてよく見えないが、8人ほどのパーティらしい。


 菓子パンを食べ終わり、一息ついてから、俺は立ち上がった。


 さて、地下第7階層ボスとご対面だ! かかってこい。


 

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