2次創作「沈丁花は井戸端会議を所望する」
僕は柳太郎。最近の自分の情けなさが嫌になって、今日は自分を鍛え直す為に滝に来ている。「頑張るぞぉ―!」、僕は気合を入れて川に足を踏み込んだ。
ツルン! 唐突に苔で足を滑らせ、僕は激流に飲まれてしまった。
柳太郎「ひぃいいいいいいい、助けてぇ――――!」
河童の佐平治「おう、大丈夫か! 今助けてやんぞ!」
僕は突然現れた河童の佐平治さんになんとか命を助けられ、いぶかしむ彼に「実は……」と事情を全部説明した。
河童の佐平治「なる程な、男女の睦言が恥ずかしいんだな」
柳太郎「は、はい、……自分が情けないです」
僕はなんでか分からないけど、思わず悔し涙がこぼれて来た。ずっと、ずっと悔やんでため込んでいた気持ちが、つい我慢しきれなくなったんだ。
河童の佐平治「おいおい、泣くんじゃねぇよ!」
すると彼が僕の両肩をがしっと水かきのついた手で掴んだ。
河童の佐平治「いいか、柳太郎! もし、おめぇの目の前に身も心も捧げて愛してくれる女が現れた時、そんな風にいじいじするか? ちげぇだろ! 男ってのは女をただ抱くんじゃねぇ、心を抱くんだ、心をな! 恥ずかしいとか、いやらしいとか考えるんじゃねぇ! おめぇの持ってる全部で、めいいっぱい抱いてやれ! それが愛するって事だろが! おい、違うか、柳太郎!」
柳太郎「で、でも……僕……」
河童の佐平治「めそめそしてんじゃねぇぞ!」
そう言うと河童の佐平治さんは僕を持ち上げ、川の近くに進んだ。
河童の佐平治「ぐだぐだ言ってねぇで、顔を洗って出直して来やがれ!」
そのまま僕は、乱暴な勢いのまま激流に投げ込まれた。
河童の佐平治「女にしっかり踏み込むんだぞ、柳太郎、ははははは!」
柳太郎「ひぃいいいいい、何するんですかぁあああああ、――――はっ!」
夢だった。
僕は布団から上半身を起こし、不思議な気分に浸った。全部夢だったけど、河童の佐平治さんの言葉が強く胸に残っていた。奇妙な高揚感が僕を包んだ。ずっともやもやしていたものが少し晴れて、なんだか清々しい風が心を吹き抜けたみたいだった。
柳太郎「ねぇ、佐平治さん、僕はまだまだ駄目だけど、これから僕なりに努力して頑張ってみるよ。それでいいんだよね、佐平治さん」
僕はささやかな決意だけど、そう誓った。
数日後、祢禰の言いつけで晒し者として河童の花魁姿になった柳太郎は、どこか誇らしげで、堂々としたものだった。その揺るがない男らしい顔つきを見て、後に祢禰が「少しはふっ切れたみたいじゃのぅ」と少しだけ彼を見直したそうな。
また長くなっちゃった、ごめんなさい( ;∀;)
作者からの返信
ふくやまさん。
超大作きてたー! Σ((>ω< ;*)ノ
もはや内容分量ともに本編を超える……!
牡丹「うう……お手洗いお手洗い」
***「……」
牡丹「ん……なんか、庭の生垣のあたりに、誰か……きゃ! ばけもの! かかか河童!?」
佐平治「し、仕挫ったわ……こっそり柳太郎の様子を見守ろうと思っておったが」
牡丹「轟天丸!!」
轟天丸「(しゃーっ!)」
柳太郎「待て!(襖ばーん)……いま、助けます、佐平治さん!!(轟天丸の前に立ち塞がる)」
佐平治「柳太郎……っ!」
柳太郎「さあ、逃げて、いまのうちに……ごふっ!!」
佐平治「りゅうたろおおおおおお!!」
牡丹「うわ! 柳太郎! 食べ過ぎで急に動くから……ああああ! だめ! 厠いって厠!! ああああああ!」
遊楽さん、好きです!
ファンクラブにエントリーします( >д<)、;'.・
祢禰さまとのやり取りが、とても良いですね!
作者からの返信
浬ちゃん。
へへ、遊楽さんファンクラブ、第一号。
記念にご本人からの、おことば。
「……浬。や、違う。佳い名だとおもったから、口に出してみただけだ……どうした。なぜ、そんな表情を……寒いのか。こっちに来て、そら、火にあたれ。俺の隣で」