第11話

 本年も無事に仕事納めを迎え、俺にもしばしの休日が訪れる。

 こういう時、仕事がないと虚無状態になるのがいままでの俺の恒例になっているが、今年は少しは年越しらしい事をしたくなったので業務スーパーへと足を運ぶ。

 業務スーパーでは既に元旦セールの準備を始め、鏡餅などが準備されている。

 まあ、正月に餅というのも悪くないが、作るのが面倒臭い。

 何より自炊経験の少ない社畜なら解ると思うが、自炊が出来ないからマクドナルドやファミリーマート、セブンイレブンなどを活用している訳で簡単に自炊切り替えられる事が出来たら苦労はしない。


 はてさて、どうしたものかと悩んでいるとどん兵衛の鴨だし蕎麦が目に止まる。セールらしく1個108円で売られている。

 自炊も極力したくはないので、これを買って年越し蕎麦とする事にしよう。そういえば、最近、駅前の立ち食い蕎麦屋がなくなってからコロッケ蕎麦を食ってないなと思い、俺は業務スーパー内でコロッケを探すが手頃な個数のあれは見付からなかった。

 あったとしても、4個入りで売られていて違うそうじゃないとなる。

 俺が食べたいのは複数のコロッケではなく、単品のコロッケで作るコロッケ蕎麦だ。いまの気分的にここだけは譲れない。

 肉屋もないし、そうなるとコンビニの惣菜が手頃だろう。


 俺は鴨だし蕎麦を買ってから最寄りのファミリーマートに向かうと惣菜のコロッケと缶コーヒーを買って家路へと向かう。


 作り方は至って簡単だ。鴨だし蕎麦の鴨要素のある乾燥肉の入ったかやくを使わずに麺だけの状態で熱湯を注ぎ、専用つゆを入れるだけだ。

 本当なら麺と一緒にあるかまぼこもいらないのだが、そこは贅沢すぎるこだわりだろう。

 仕上げにコロッケをのせれば、理想的なコロッケ蕎麦に近い状態のコロッケ蕎麦の完成である。


 折角なので今回はスクショして保存してネットに投稿しておく事にする。我ながら効率的でかつ、実に芸術的な一品だ。

 納得のいくスクショが完成した頃にはコロッケも鴨だしを吸って程良くグズグズになっている。

 そうだ。こういうのでいいのだ。

 蕎麦はやや堅めくらいでグズグズのコロッケとマッチする。

 鴨だしのあっさりさとコロッケの油の相性も良い。

 コロッケは半分割って片方をかき混ぜて蕎麦と一緒に啜り、片方はそのまま食う。

 コロッケ蕎麦の食い方は様々な意見が分かれるが、両方を味わえるのは効率重視の社畜にとって、かなりの贅沢をしているようなものである。


 じっくりと味わい、鴨だしとコロッケの混ざった汁を堪能して完食する。

 除夜の鐘も鳴り響き、今年も終わろうとしている中、社畜らしい贅沢な時間を過ごしてから俺は缶コーヒーを飲み、退屈な時間に一区切りつけてYouTubeで懐かしのゲームミュージックを再生させ、その曲に耳を傾けるのであった。

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