「地下博士の気まぐれ性転換ショー」
女は負傷した足をかばいつつ、暗闇の中を歩き続ける。
古い下水道である道は、苔が生えており足元がおぼつかない。注意深く進まねば、今にも落ちてしまいそうだ。
「…まだなのか…出口は一体、どこだ?」
女は寒さに唇を震わせながら、外界を目指す。革靴などとうに捨て置いた。服もじっとりと濡れ、髪は降り乱されている。
歩き始めて数時間たったとき、上空に光を見つけた。
やった。女は小走りに梯子を登り、眩さに目を細めながら世界を隔てるマンホールを力の限り押しやった。
「たのむ!助けてくれ!お願いだ、食べるものを…!!」
女の叫び声に、度肝を抜かれた通行人たちは、直ちに携帯電話を持ち出し、警察へと連絡する。
自分はこの近辺の某社でサラリーマンをやっていたのだが。通勤していたある日、後頭部を殴られ気づけば地下にいた。俺はいったいどうなったんだ。いえで女房と子供がまってるっていうのに、こんな体じゃいったいどうしろっていうんだ!
…………警察の取り調べで、錯乱状態の女はこう叫んだ。
彼女は美しく、豊満な乳を揺らして叫び続ける。
女の言葉を信じる者は、誰もいなかった。
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