第13話 いい人止まり、北欧系ギャルにラッキースケベする②
彼女は大きく息を吸う。
オレも同じく息を吸う。
「ふぇぇぇぇぇえええッ⁉」
「えぇぇぇぇぇえええッ⁉」
二人の情けない叫び声がボロ小屋を突き抜けて轟いていった。
「……お、お前、なんでいんだよ‼」
「ここあーしの家だもん‼ ここあーしの家だもん‼ ここあーしの家だもん‼」
オレは思わず、ほぼ男の本能で、彼女のなまめく姿態をつぶさに観察してしまっていた。
滑らかに伸びる白い四肢。
下着でしか隠されていない、無防備な弾ける肌。
そして、彼女の最大の武器であるたっぷりとしたバストは、先端の最も大事な部分以外の質量がブラカップの外に溢れてしまっていた。
見るからにずっしり重そうなそれは真っ白で、実際に触ってもいないのにモチモチしているのが伝わってくる。
なんか、つきたての餅みたいだ……
オレの視線に気づいた燐は、咄嗟に毛布を胸元まで引き上げた。
「き、着替えてるから出てって!」
「う……あっ……」
「出てって‼」
身の回りのものを手当たり次第投げ始めた燐に追われ、オレは慌てて小屋を転がり出た。
屋外に飛び出しても、心臓が早鐘を打つように高鳴って止まらない。
「なんだよ今の……」
呼んでも返事なかったし、まさかいるとは……
しかも、着替え中とかいう最高――いや、最低のタイミングだし。
しかも、物投げられるし。
「漫画かよ……」
オレは深呼吸して気持ちを落ち着け、今見た光景を忘れようとした。
が、ブルーシート小屋に隠されていためくるめく女体の世界が、オレの瞼の裏に焼き付いていた。
い、いかん……これ以上の振り返りは危険だ。
驚異の胸囲が脅威すぎる……!
◇
五分ほど経って、小屋の入口が開いた。
いつものウィンドブレーカー姿に着替えた燐が、扉から這い出てくる。
小屋前で立ち尽くしていたオレを見つけると、彼女はニヤ〜ッと口の端を歪めて近づいてきた。
「純く〜ん? どうして入ってきたのかなァ? ん〜?」
「いや、どこにもいなかったから……」
「あーし、着替えてるよって答えたよォ?」
「き、聞こえませんでした……」
「ふ〜ん? そっか〜、聞こえなかったなら許すしかないね〜」
「絶対思ってないですよね?」
キョドるオレに、燐は体がくっつくほど距離を詰めてきて、出会ってから一番怪しげな笑みでオレを見上げた。
「遠慮しなくても、言ってくれれば見せてあげたのに〜。そ・れ・と・も〜♡ のぞき見じゃないと興奮しないとか? や〜ん、純くんってばへんた〜い♡ 変態さんすぎて、もはやえっちの化身だね〜♡ よっ、えっち野郎♡ えっち大魔神♡ えっち大権現♡ そんな犯罪者はナイフで撃退ッ‼」
「うわぁッ! 刃物はダメ! もう入らないからそれ仕舞って!」
オレが洒落になってない刃渡りを前に、慌ててハンズアップする。
彼女は、ニコニコしながらそれをケースに戻した。
人生で、抜き身の刃物を突きつけられることになるなんて夢にも思ってなかった……
「あの、マジでごめん。もう二度と勝手に入らないから」
「当たり前だよ〜。ホームレスにもプライバシーはあるんだから」
「ごめん……ただ、誤解してほしくないんだけど、オレ、本当に気づいてなくて――」
「大丈夫だよ、わかってるから」
燐はオレの釈明を中断させると、ブラウンの瞳を細めてオレに優しく笑いかけた。
「全部わかってるよ。えっちさん♡」
「……」
地獄のあだ名が決まった瞬間だった。
――――――――――――――――――
次回、えっちさんが北欧ギャルにいいようにされます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます