第45話 宣戦布告
街が段々と敷地を広げていた頃。
ある朝、字兵からある事が告げられた。
「シュウイ、北側の『覇』領の先に街のようなものが見えたんだ」
この世界にまだ人の生きている領のようなものがあるんだ。
「どんな感じの街?」
「あー。説明しずらいなぁ。凸凹? んー。色もあるんだがないんだか。見張り台から見てみたらどうだ?」
「うん。そうする」
字兵に言われた通り見張り台に登ってみることにしたんだ。そして字力具を覗く。
以前語ったと思うが、『覇』領は白で統一されている。そのずっと後ろに黒い何かが蠢いている様に街のようなものが見える。
建物が黒で統一されている?
まさか『覇』領と何か関係があったのか?
そんな疑問も芽生えてくる。
あそこは謎の多い領だ。
その後ろの森の先に領があるなんて今まで知らなかった。なんか嫌な予感がするけど。今は気にしてもしょうがないか。
「本当だ。街のように見えるね。ちょくちょく気にかけて見ていて欲しいな」
「あぁ。そうするよ」
見張り台を降りると字兵に気にするように告げて自宅へと戻る。
まさか、すぐに報告が来るとは思わなかった。
その日の日が傾いて来た頃。
「シュウイ! なんかカラフルな奴らが近づいてきてる!」
「えぇ? カラフル?」
建物を避けながら北側を確認すると確かにカラフルな人達が歩いてくるのが見える。
左から『赤』『青』『緑』『黒』『黄』『橙』『白』の順で並んできている。
それはニチアサのヒーローのように堂々と歩いてきたのだ。明らかにこちらに向かってきている。
ここに一体何のようなんだ?
ボクは話をするためにその七人の元へと向かった。
「どちら様で? ウチの領に何の用?」
「君がこの領の主かな?」
「主をやらせてもらってる者だ。敵意がありそうだなと思ってね。何の用なのかな?」
全身黒ずくめの人がリーダーのようだ。
こちらが質問すると少し考える素振りを見せながらも用件を話した。
「あの白い領の主がやられたんだ。誰の仕業か知っているかい?」
「……それなら、ボクだけど?」
「ほう。それなら話が早い。あそこの領から私達は金やら食べ物を搾取していたんだ。それが途絶えて困っているんだよ」
あの領から搾取?
じゃぁ、建物が白いのってもしかして。
「なんで建物が白一色なのか疑問に思わなかったかい? ウチのナンバーツー『白』の実質の領地だったからなのさ」
「あんたらがあの領の実質の支配者だったのか? それは知らなかったね。あそこが貧困が酷いのはそういうことか」
「あぁ。我々の為にある様な領だったからな」
両手を広げ、力を誇示するように胸を張って言い放つ。
「最低だな」
「なんと言われても構わない。それでだ、ここの領も潤っている用じゃないか。私達に金と食べ物をよこしたまえ」
「いやだね」
「それでは、不本意だが我ら『色』領の七色王と戦って貰おうか」
「こちらも七人集めろと?」
「あぁ。別に足りなくてもいいが、負けた時の言い訳はするな?」
「わかった。少し待って」
少し待ってもらう事にして振り返ると、そこには主要なもの達がもう揃っていた。
ミレイさん、モーザさん、コウジュ、シゴク。
そうだよね。ボクたちでカタをつけよう。
「ここにいる僕含めて五人で相手をするよ」
「足りないがいいのか?」
「そのぐらいハンデがあったほ合うがいいでしょ?」
「フンッ! 大口叩いて恥をかくぞ!」
「早くやろう?」
少し離れたところに両陣営が陣取る。
人数が足りないので勝ち抜き戦となった。
今は順番を決める。
「皆が出るまでもないよ。ボクが最初に出て、全員倒すよ。もし皆に何かあったらボクは……」
「シュウイにだけ押し付けられるわけないでしょう!? 何言ってるの!?」
「あっしらぁ、なんの為に来たと思ってんだぁ?」
ミレイさんとモーザさんに止められる。
「そういうところ、シュウイっぽいっすねぇ。ただ、人を頼るのも大事っすよ」
「
コウジュとシゴクにも喝を入れられた。
そうだよね。皆でやってきたんだもん。
今更ボクだけでどうにかしようなんて無理だもんね。
相手の力は未知数。
どんな特性のある天漢かが分からないから。
「まずはよぉ。あっしが、様子見てくらぁよ」
「モーザさんより自分の方がいいんじゃないっすか?」
コウジュがモーザさんへと意見してる。
「んー。コウジュが行くかぁ? まぁ、お前の天漢はぁある意味つえぇからなぁ」
「なんか、あの人達にも効果ありそうじゃないっすか?」
「たしかになぁ。けどよぉ。俺がいってどんな特性があるのか、それを知ってた方がたいしょしやすいだろぉ? それによぉ。おれぁこの中じゃ一番弱いからよぉ」
そんなことないと思うけど、モーザさんがこう言ってるから先に行ってもらおうか。
どうにか無事で終わって欲しい。
「そんなことないと思う。でも、ここは大事な場面だからこそ、モーザさんにお願いしようと思います」
「あぁ。任せろぃ」
両頬を叩き、気合を入れたモーザさんはあちらの既に立っている『黄』の人の前へと立ち、向かい合った。
この領を守る戦いが始まる。
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