第23話 守護者とは
ギルドと施設の守護者の件でタイガさんが人を派遣してくれた。
一人はミレイさん。来たかったんだって。うるさいからそっちに置いてくれっていわれた。
一応秘書のようなことをやるらしい。
今のこの治安ならいいかもしれないな。
ギルドの方はモーザさんが抜擢された。あれ以来頑張って五級まで階級を上げたんだ。そして、ボクが領主をやると聞いて手伝いたいって言ってくれたみたい。
すごく嬉しかった。
もう一人の守護者はコウジュだ。
他にも二人ほど人を寄越してくれたみたい。
何気に四級字兵へと階級を上げていたみたい。コウジュが守護者なら安心だね。
「コウジュ。ここは重要地点だからお願いね? 心配してないけど」
「任せるっすよ! この領の為に頑張るっす!」
気合いが入っているみたいで何より。
「あんた! 頑張んなよ⁉ ここで名を上げるんだ!」
「了解っす!
コウジュに鍵を渡して中の女性たちと子供にコウジュを紹介する。
そして、信頼できる仲間だから安心するように伝えてここを後にする。
次に向かったのはギルドだ。
ギルドにはモーザさんがいる。
「モーザさん、有難う御座います!」
「なんかあっしですいやせん! こういう受け付けっつうのは綺麗な女がやるもんだと思うんですが、あっしがやることになっちまいやした!」
「ううん。モーザさんで安心だよ。もうお金くすねたりしちゃダメだよ?」
冗談でそうからかう。
顔を真っ赤にしてシュンとなった。
意外と可愛いね。モーザさん。
「勘弁してくだせぇ。もうそんな恥ずかしぃこたぁしやせんぜぇ」
「そっ? ならいいけど、お願いね?」
「任してくだせぇ」
神妙に返事をするモーザさん。
ボクの後ろから睨まれているから委縮しちゃってる。
「モーザ! しっかりやんなよ⁉」
「分かってやすよ姐さん! 勘弁して下せえ! 真面目にやりやすから!」
ボクはギルドに所属する字兵を探しに建物を出た。
街は徐々に活気を取り戻し始めている。
ガタイのいい人を見ると声をかけたくなる。
「お兄さん、力自慢だったりする?」
「俺の天漢は『力』だ! 誰にも負けねぇ! あっ、領主様には適わないけど!」
「いいね。ギルドに所属しない? 字兵として仕事をするんだ。そうすることで報酬を貰えるよ?」
それを教えると身体を跳ねらせた。
「ホントですか!? 所属します!」
「あの建物にギルドがあるから、手続きしておいでよ」
「有難う御座います!」
その人は小走りでギルドへと向かった。
こうして少し力自慢とか戦い強そうだなと思った人を誘っていった。
誘っていると見たことのある子持ちの女性が近づいてきた。
「ねぇ、領主様? その綺麗な方は誰です?」
「この人はボクの恩人っていうか、隣の領主の妹さんだよ。秘書みたいな形で来てもらったんだ」
「ふぅん。そうなんですかぁ」
なんだか値踏みするようにミレイさんを凝視している。
やめて欲しいなぁ。
そういう挑戦的な目をすると面倒なことに。
「なぁに? シュウイになんか用? おばさん?」
「あぁらぁ。あなたよりは人生経験がありますけど、さほど、かわらなくてよ? 小娘?」
「ちょぉぉ! 何やってんの!」
慌てて間に入る。
「ミレイさん、なんで喧嘩おっぱじめちゃうの? ボクの秘書としてきたんでしょ⁉ 街の人と喧嘩しないでよ!」
「だって! この人がなんか喧嘩売って来るから!」
「だからって買っちゃダメなの!」
ボクは自分のことは棚に上げてミレイさんに苦言を呈した。
自分では結構喧嘩を買って黙らせたりしてしまってたけど、ミレイさんはそのことを知らないからセーフ。
「それで? どうしたんですか?」
にこやかにその女性へと話を聞く。
「あのー、そのギルドって私が登録してもいいんですか?」
ボクは思わず目を見張ってしまった。
まさか女性の方からそういった相談があるなんて。
これは嬉しい事態だ。
「大丈夫ですよ! 十級から一級まであって、十級は街の困りごとなんで、お手伝いしてお金を稼ぐことができるんですよ!」
「あら! それはいいわねぇ。ちょっと子供になにか買ってあげたくて。あの施設だとお金は貰えないでしょう?」
「あっ! そうですね! 登録して貰えば、モーザってものがいるので、聞いてもらえれば依頼の受け方とか教えて貰えますから!」
たしかのあの施設の運営はお金を上げることはしない。
三食食事つきと風呂や部屋を自由に使える。
けど、好きな物を買ったりする娯楽は全くと言っていい程ない。
「そうなのね! さっそく行ってみようかしら?」
「えぇ! 是非!」
その女性はミレイさんを横目で見ながら去って行った。
なんであんなに敵意むき出しなんだろ?
「ガルルル……あの女、シュウイのことを狙ってるわね」
「えぇ? そんなことある? ボクみたいな若造を……」
「いや、あれは男を見る目よ!」
もう。ミレイさん、そういうのいいから。ボク疲れるんだけど。
「まぁ。どっちでもいいけどさ。疲れたからご飯食べに行こうかな」
「えぇ⁉ どこにいく? 美味しい所ある?」
「屋台のおっちゃんのところだよ。まだそんなに店がないからね」
「いくいく!」
ボクの片腕を絡めとって歩き出した。
もう。くっつきすぎだよ。
こういう所も天然なのかな。
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