第13話『リフォームとお出かけの約束と宿題』

 リョウがニーナの部屋の模様替えを決めてから三日が経った。

 今日の放課後、リョウが手配した業者が教員寮を訪れることになっている。

 ニーナは、朝からわくわくし通しで授業にも全く身が入っていないようだった。

 授業が終わってリョウとニーナとメリルの三人が教員寮の前で待っていると、業者が訪れた。業者は合計で五人いる。黒い繋ぎを着た男性が四名おり、この四人は問題ない。

 問題は、上下ピンク色のスパンコール素材のスカートスーツを着た女性である。

 顔の作りは整っているようだが、凄まじい厚化粧で歳も分からない。舞台役者でもここまで濃い化粧はしない。橙色の髪と薄緑色の瞳が派手な容姿を殊更派手にしていた。


「あてくしシャーロットと申します! よろしくお願いするザマス!」


 口調の癖もすごい。ここまでアクの強い人物は、二十三年の人生で初めて出会う。

 どういう親に育てられてどんな人生を送ると、この人格が出来上がるのか。好奇心をくすぐられた。


「……キャラ濃いな、この業者」

「……そうね。色々とやりすぎだわね」


 呆れ顔のメリルがボソッと呟いた。

 ニーナもさっきまでのわくわくぶりはどこへやら。リョウの後ろに隠れてしまった。


「この人やばい」


 普段は強気なニーナがここまで怯えてしまうとは、さすがに想定外だった。とは言え、変人濃度百%の傑物相手だから無理もあるまい。

 リョウがニーナの頭を撫でていると、シャーロットの顔が鼻先にずいっと近づいてきた。


「さぁ! あてくしの仕事場はどこザマスか!? どんなお部屋でも最高で極上の空間にしてみせるザッ! マッ! スッ!」

 圧がすごい。廃墟で戦った時のメリル以上の圧迫感だ。


「……こっちです」


 雰囲気に押されたリョウは、シャーロットと一緒に教員寮の中に入った。しかしニーナとメリルは一緒に来る気配がない。シャーロットをリョウ一人に押し付けるつもりだ。

 そうはさせまいと、リョウはニーナとメリルの腕を掴んで引っ張った。


「リョウ放して!」

「なんであたしたちまで一緒にいくのよ!?」

「うるせぇ! 連帯責任だ! 死なば諸共よ!」


 模様替えを提案したのはメリルで、模様替えした部屋に住むのはニーナである。リョウ一人で地獄に行くのはごめんだ。

 教員寮に入ったシャーロットは、二階に続く階段を駆け上がる。ニーナの部屋の前につくと、勢い良く扉を開け放した。部屋の内装を見た途端、シャーロットが震え出した。


「まぁ! なんて殺風景な部屋! こんな寂しい空間に住んでいたら心が病んでしまうザマス! 子供の健全な発育に悪影響ザマス! あてくしの腕の見せ所ザマス!」


 シャーロットは鼻から大きく息を吸い込み、胸をパンパンに膨らませた。


『さぁ! かわいい部屋にしましょう!』


 突然シャーロットがミュージカル調に歌い出した。意外に美声で歌もうまい。

 問題は、何故急に歌い出したのかだ。


『さぁお前たちっ! 持っておーいーでー!!』


 外にいた作業員の男たちが大量のインテリアを持って部屋になだれ込んできた。


『ニーナちゃんっ!』


 シャーロットは、怯えるニーナの両手を握った。


『あなたの好きな色を教えて?』

「……く、黒」

『まぁ素敵っ!』


 シャーロットはニーナを抱き上げて部屋の中をくるくる回り始めた。


『女の子の好きな素敵を詰め込んで! あなただけの素敵空間作りましょう!!』


 似たような光景をどこかで見たことがある。しばし思案に耽るリョウであったが、やがて思い出した。子供の頃見たドリームイリュージョンのアニメに似ているのだ。

 ドリームイリュージョンの作品は、ミュージカル調のものが多い。アニメを見ている時は何も思わなかったが、現実にやられるとこうも珍妙な空間になるとは予想外であった。

 冷静に考えたら会話の途中にいきなり歌い出すのはクレイジーな行為だ。シャーロットがニーナと手を繋いでステップを踏む光景をリョウとメリルは冷めた目で眺めている。


『黒いカーテンに! 黒いベッド! あなたの好きと素敵がいっぱい!』


 シャーロットの歌唱に合わせて作業員が手際よくインテリアを設置していく。


『ベッドのシーツ、カーテン、スタンドライト。全部あなただけの特別よっ!!』


 歌の陽気なトーンと対照的に、絵面は部屋を黒づくめにしているだけで割と地味だ。


『さぁニーナちゃん! これがあなただけの素敵空間よおおおおおっ!』


 ビブラートを響かせてシャーロットの歌が終わった。

 完成した部屋は、インテリアが全部黒で統一されている。女の子らしさは全くない。

 シャーロットとのダンスから解放されたニーナは肩で息をしていた。


「あの歌さいあく。素敵な夢って感じの歌唱がマジさいあくだわ」

「お前ブレイブ・ファミリー好きだろ。よかったじゃねぇか、あれみたいで」

「ミュージカルシーンは、あの映画ゆいいつの汚点よ」


 すっかりグロッキーになったニーナは、黒いシーツと掛布団が敷かれたベッドに仰向けに寝転んだ。そのまま部屋全体を見回して小さな唇にほんのりと笑みを浮かべる。


「でも……部屋のセンスは悪くない。シャーロットやるわね」

「ニーナちゃんありがとうございザマス! あてくしもとっても楽しくお仕事できたザマス! さぁお前たち撤収するザマス! それじゃあ請求書はまた後日」


 シャーロットと作業員は、そそくさと部屋を出て行った。


「やたら濃いキャラの割に引き際はあっさりしてやがんな」


 リョウは、部屋に新しく設置されたインテリアを一つ一つ見て回った。

 じっと眺めたり、匂いを嗅いだり、手で触れたりしてみる。


「……あの業者たしかにとんでもなくセンスがいいじゃねぇか」


 最後にベッドの傍らに置かれた黒いライトスタンドの前で立ち止まった。


「あの歌も中々だったぜ」


 リョウは、ライトスタンドを右手の人差し指で突いて微笑んだ。



 * * * * *



 模様替えを終えた後、リョウとニーナとメリルの三人は演習場にいた。

 ニーナの魔術の練習のため、学院長の許可を取って平日は放課後、休日は朝と昼の二回演習場を使用している。

 今日は模様替えの業者が入る予定だったため、いつもより練習時間を後ろにずらした。

 人型の金属製の的が演習場の中央に一つ立っており、ニーナが的に右手を向けている。

 掌に黒い魔力の塊が形成されたが、数瞬で水風船のように弾けてしまった。

 ニーナは、何度も魔力の塊を作るが、その度にすぐに弾けてしまう。

 ふくれっ面になったニーナがリョウを睨んできた。


「あんな的、簡単に吹き飛ばせる。なんでこんなに小さいのでやらないといけないの」

「前にも言ったろ。ニーナは膨大な魔力を持っているが、制御がてんでだめだ。お前の魔術は規模が大きい分、周囲に与える被害も大きい。戦う度に地形を変えるつもりか?」

「わたしは構わないわ」

「お前以外のみんなは構うんだよ。地図出してる会社だけは大儲けするだろうけどよ」

「器の小さい人間が多いわ。こんな世界滅べばいいのに」

「いちいち細かいことで世界滅ぼそうとすんじゃねぇ。器小さいのはどっちだ」

「もう飽きたわ。やめる」


 いじけた顔をしてニーナが的に向けていた右手を下ろした。

 リョウは、ニーナの頭をこつんと優しく小突く。


「こら。まだ練習時間が終わるまで三十分あるだろ」

「もう疲れた。お腹空いた」

「練習が終わったら飯にしてやる。だから練習しろ」

「……メリル」


 甘ったれた声を出しながらニーナはメリルに駆け寄った。ぎゅっと抱き着いて上目遣いでメリルを見つめている。


「わたし疲れた。メリルからも言って。子供への虐待は犯罪だって」

「お前なぁ。そいつお前を殺そうとしてるんだぞ? 虐待なんてもんじゃねぇぞ?」


 暗殺者に甘えるあたり神経が太いのか、思考がずれているのか。

 メリルは、ニーナを見下ろしたまま硬直していた。


「メリル?」


 ニーナが訝しげに声を上げると、メリルはニーナを抱きしめ返した。


「そうね。ちょっと厳しすぎるんじゃない?」

「てめぇが口をはさむことじゃねぇ。そもそもなんでここにいる? ニーナの指導には反対なんだろ?」

「反対だからこそここにいるのよ。あんたが何を教えるのか。何をさせようとするのか」

「てめぇみたいにニーナを殺すつもりがねぇのだけは確かだな」


 ニーナの魔力は強大だ。ろくに制御も出来ないままでは、ルギタニア国内でも持て余しかねない。バージス学院長がリョウを指導役にしたのも、ニーナの今後を見極めるためだ。

 もしもここでリョウが成果を出せなければ最悪の結果もありうる。驚異的な魔力を正しく制御する術を教えなくてはならない。それがニーナの命を救うことにも繋がるのだ。

 すでにリョウは一度教師としてあるまじき行いをしている。大切な生徒たちを戦場に送り込み、死なせてしまった。もう二度とあんな過ちを犯すわけにはいない。

 今度こそ間違わない。今度こそ正しい行いをする。そのためにもニーナには正しい力の使い方を教えなくてはならない。それがリョウに課せられた義務である。

 リョウは、パチンと両手を叩いた。


「ほら、あと三十分だ! がんばらねぇと夕飯は抜きだぞっ!」

「……リョウ嫌い」

「嫌いで結構。いいからやれ。来週には魔術競技大会なんだぞ」

「わたしは契約魔術部門にでる。射撃魔術は関係ない」

「魔術構築の練度上げる練習しないと本番でいいところ見せられねぇぞ?」

「……分かった」


 ニーナは、渋々といった様子でメリルから離れて的の正面に立った。

 その直後、何かを閃いたかのように、ニーナがにたりと微笑んだ。


「リョウ、これやったらご褒美ちょうだい。子供のしつけには飴と鞭の使い分けが大事」

「まぁ、一理あるな。けどそれを子供本人が言うんじゃねぇ」

「今のリョウは鞭ばっかり。だから飴が欲しい」

「なんか欲しいもんでもあるのか?」

「ドリームイリュージョンパークに行きたいわ。三人一緒に」


 リョウは言葉に詰まり、咄嗟にメリルを見やった。

 メリルもおねだりの内容が意外だったのだろう。口をあんぐり開いて呆然としている。

 テーマパークに行きたいなんて普通の子供らしいおねだりだ。もちろんニーナは子供だし、子供らしい部分もあるにはある。ただ蜘蛛のぬいぐるみを欲しがったり、部屋のインテリアを黒で統一させたり、センスが妙にずれている。

 いきなり普通の子供らしいことを言われて、身構えてしまった。


「……だめ?」


 ニーナは、上目使いで首を傾げた。ますます怪しい。こういうしぐさをする時、ニーナには必ず計算がある。普通の子供相手なら即座に応じるおねだりだが、相手が相手だ。おねだりの裏にどんな目的があるのか勘ぐってしまう。

 メリルも同じ懸念を持っているのか、リョウに近づいて耳打ちしてきた。


「どうするのよ?」

「……分からん。お前どう思う?」

「普通の子供なら微笑ましいおねだりだけど相手はあのニーナよ?」

「だよなぁ……ましてあの首を傾げた感じ見てみろよ、上目遣いでよ」

「ええ。普段子ども扱いされたがらないくせに、あんな媚びたことするなんて……これは何か企んでいるに違いないわ」

「二人とも、全部聞こえてるわ」


 ニーナはぷっくりと頬を膨らませている。まるで頬袋を満杯にしたリスだ。


「……二人ともそんなにわたしがきらい? わたしがわるい子だから」


 今度は拗ねてしまった。小鳥のように唇を尖らせて、上目遣いで身体をくねくね揺らしている様は、妙に演技臭い。


「嫌いじゃねぇが、悪い子って言えば悪い子だなお前は」

「今回ばかりはこの男に同意ね。あんたはいわゆる世間一般のいい子じゃないわ」

「子供の純真を疑う父と母。こんな世界滅べばいいのに」

「そういうところだ。お前の純真は、マイナス方向に振り切れてんだよ」

「とにかく三人でドリームイリュージョンパークに行きたいわ。約束してくれたら魔術の練習がんばる」


 真意が分からない不気味さがあるが、子供を疑いすぎるのも大人としてよくない。

 しかも三人で出かけて教員寮を空ける状況は、今のリョウにとって〝好都合〟でもある。

 まさに一石二鳥だ。断る理由はない。リョウは、ニーナの頭を撫でて笑いかけた。


「分かった。この前、キャシーさんも遊びに来いって言ってたしな。後でバージス学院長に外出許可取ってくるよ。せっかくだから明日行くぞ」

「三人で?」


 メリルに目配せすると、彼女は溜息を漏らしながら首肯した。


「ああ。俺とニーナとこの女の三人で」

「ん」


 こくりと頷いたニーナは、右手に黒い魔力を展開した。黒い魔力は大人の拳ほどの大きさに凝縮され、的目掛けて放たれる。落雷に匹敵する速度域で飛翔した魔弾が着弾と同時に炸裂し、的を粉々に吹き飛ばした。

 ニーナは、どや顔で腰に両手を当てて胸を張った。


「上出来でしょ?」


 腕を組んだメリルは、研ぎ澄まされた剣の切っ先のような視線でリョウを突き刺した。


「あたし知らないわよ。この成長スピード」

「……将来が楽しみじゃねぇか」


 この魔力を自在に制御出来るようになったら、一体どれほどの魔術師になるのか。

 期待感と畏怖を覚えたリョウの頬を冷や汗が伝った。



 * * * * *



 夕食後の教員寮のリビングで、ニーナが食卓にプリントとノートを広げて唸っていた。

 リョウとメリルは、ニーナの様子を見守りながら食後の紅茶を飲んでいる。


「宿題が出る世界なんて滅べばいいのに……」


 悪態をつくニーナは、向かい側に座るリョウを睨んできた。

 宿題は、高等科一年~二年相当の魔術構築学の問題からリョウが抜粋して作った。

 ニーナの学力を考慮すると、本来は初等科の問題をやらせるべきだが、強大な魔力を制御するには基礎をやりつつ応用も学ばせる必要がある。

 けれどさすがに難しかったのか、ニーナは頭から煙を吹き出しそうだ。

 リョウがそろそろ助け船を出そうかと思った矢先、ニーナは自身の左隣に座るメリルをすがるような目で見つめた。


「メリル、教えて」

「なんであたしなのよ……ったくしょうがないわね」


 面倒そうにしながらメリルは、椅子をニーナに寄せて座り直し、プリントを覗き込む。


「えーとまずは召喚魔術学。魔術師一人で生物は召喚出来るか否か。分かる?」

「出来るっ!」

「出来ないわよ。召喚魔術は、召喚対象の重さや構造が複雑になればなるほど消費魔力が跳ね上がる。生物の構造は複雑よ。人間の魔力じゃネズミ一匹召喚するのも不可能ね」


 ニーナは、ノートにメリルが言ったままの文章を鉛筆で書き写している。ニーナが書き終わるのを確認してからメリルは、次のプリントに目をやった。


「次が魔術の多重構築……あー、あの小賢しい技術ね」

「小賢しくねぇ。工夫って呼べ」

「小賢しい工夫ね」

「この野郎……」


 魔術の多重構築は、魔力封入弾に二つ以上の魔術構築を同時に付与する技術だ。これはワイズ式魔術には存在しないルギタニア式魔術独自の技術である。

 高位のルギタニア式魔術師になるのは必須の技術だが、ワイズ帝国人はこれを嘲笑の対象としており、メリルも例外ではないようだった。


「銃以外の触媒を使えない多様性のない魔術体系だから、こんなものが必要になるのよ」


 メリルが鼻で笑いながら言うと、ニーナは首を傾げた。


「どういういみ? ワイズ式魔術とルギタニア式魔術ってなにがちがうの?」

「そうね。ワイズ式魔術は特化型。ルギタニア式魔術は汎用型ってところね。ワイズ式魔術は、得意な魔術に合わせて触媒を選択するわ。あたしみたいに近接型魔術が得意だったら剣や拳。中距離型は槍。遠距離型なら杖ね。だけどルギタニア式は銃オンリーよ」

「なんで?」

「聞かれてるわよ、ルギタニア式の開発者さん」

「そうだな……ワイズ式じゃ遠距離魔術には杖を使うが、弾をまっすぐ飛ばすだけでもかなりの修練を要する。だが銃を使えばそもそも弾をまっすぐ飛ばす訓練が必要ない。弾を遠くへまっすぐ飛ばすために作られた道具だからな」

「じゃあ、だれでも簡単に強くなれる?」


 ニーナの理解力の高さに感嘆させられる。勉強は出来ないが地頭はいい証拠だ。


「そうだ。ルギタニア式の最大の特徴は、魔力を持って生まれなかった人間でも魔術師になれることだ。だからある程度の型を作ってそれに沿わせた方が効率的だった。だが、みんなが同じ触媒(ライフル)を使うからルギタニア式の魔術師は、全員似たような魔術しか使えない。つまりワイズ式みたいに魔術師の多様性がねぇんだ」


 どの魔術師も似たような魔術構成というのは、実戦において致命的な欠点である。ルギタニア式魔術の多重構築は、この欠点を補うために開発した技術だ。


「多重構築は、例えば貫通弾と炸裂弾(エクスプロージョン)。二つの魔術を時間差で行使出来る。こういう魔術の組み合わせで魔術にバリエーションを持たせるんだ。ただし多重構築には欠点もある。二つの性質の魔術を付与するなら当然弾丸に封入された魔力を二等分しなくちゃならないってことだ。つまり?」

「……魔術の威力とか精度が落ちる?」

「正解。理論上は、十や二十の多重構築も可能だが、それじゃあ魔術の威力も精度も十分の一や二十分の一になるってことだ。実用性を考えると三重構築がせいぜいだな」

「わたしにもできる?」

「出来んこともねぇが、お前はワイズ式魔術の使い手だから、やる必要がねぇよ」

「なんで?」

「ルギタニア式魔術は、魔力を持ってない人間を効率的に魔術師にすることに特化してるんだ。魔力を持って生まれたやつが覚えるメリットは全くない。ルギタニア人でも魔力を持って生まれたやつは、みんなワイズ式魔術を使う。バージス学院長みたいにな」

「じゃあなんでわたしはルギタニア式の勉強するの?」


 ニーナの場合は、膨大な魔力量故、魔術の得意不得意の概念が存在しない。どんな魔術でも魔力に物を言わせて強引に発動出来る。

 とは言え、知識として知っておいて損はない。それがリョウの指導方針である。


「まぁ自分が使わない技術でも覚えておけ。学んだことは無駄にはならん。だからバリバリ勉強しろよ」

「でも明日は一日遊ぶ、でしょ?」

「そうだな。明日は練習も勉強もおやすみだ。だから今日まとめてやっちまうぞ」

「……こんな世界滅べばいいのに」

「世界が滅んだらドリームイリュージョンパークも滅ぶぞ」


 ニーナは、深い溜息をついて遠い目をした。

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